第11話 訓練した日の夜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「こんなところに本当に、孤児院があるのか?」

「本当ですよ!そこで、生意気なガキと意外と面のいいガキがいたんですよ!」

「まぁ、どっちも売れたら最高だな」

「気をつけてください。こいつの報告によると、面のいい方は、異能力を使ってくるみたいですよ」

「そんなの、相性の悪いやつけしかければ、行けるって」

「おっ。孤児院が見えて来た。へへへ。覚えていろよ」

「別部隊も着いた頃だろう」

「それじゃあ、いざ奇襲を仕掛けるぞ。他にも売れそうなやついたら、売るぞ」

 この時、彼等の身には災難が降りかかると思っていなかった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「お嬢様と離れてようやくたどり着いた。ここの孤児院は警備がスカスカだったから、暗殺するのは、容易いだろう」

「お嬢も欲しい物取るために強欲発揮してますねー。まあ、当主にバレたら、マズイっすからねー」

「こら。お嬢様の悪口は控えておけ」

「お前は、真面目すぎるんだよなー。もうちょい気楽に生きようぜー」

「先着がいるみたいですね。あの中に混ざりましょうか」

「賛成ー」

 時を同じくして、彼等も人身売買達と会った。あんな目に会うとは、つゆ知らず彼等と行動を共にする。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ふぁぁぁっ。……眠い」

 眠いけれど、沙羅さんと一緒に罠を仕掛けた所に、行かなきゃ行けない。昨日寝る前には、色で言うなら緑だったけれど、今朝起きた時に赤になっていた。この状態は、沙羅さん曰く、悪いやつが引っかかった時になるらしい。ちなみに、悪い人以外が引っかかると、ちょっと跳ねるだけだ。あと、一定時間ジャンプする時に、高く飛ぶ事ができる。悪い人の判定は、私に明確な敵意があるかないからしい。

 3つ仕掛けたうちの2つを見たけど、どっちも地獄絵図だった事を言っておこう。そして、今3つ目の蜘蛛の巣を見ているのだが。

「……」

「お前が簡単って言ったんだろ!何が簡単だこの野郎!」

「こんなのあるとは、思わないじゃないですか!お前が言い出したから、お前が責任取れ!」

 ……一応蜘蛛の巣は防音できているけれど、それでもうるさい。3つとも地獄絵図だった。どうしたものか。と思っていた時だった。。どこかで見ている。そして、思い出した。エカバリー公爵家の使用人だ。まぁ、正確に言うなら、暗殺部隊の一員だ。この中で1番狙われる可能性があるのは、私かリナだ。しかし、リナはただのメイド。となると、私と言う線が濃厚だ。なぜ、私は狙われているのか。そもそも、エカバリー公爵家の人間が、私を狙う必要があったのか?考えても、分からないから、ガロウさん達のところに行って報告しようとした時だった。

「ル〜ノ〜さ〜ま〜?」

「ヒィッ」

「能力は公表しない方針でしたよね〜?何でこんな事になっているんですか〜?」

「リ……リナ」

 背後にものすごく怒っているリナがいた。怖いけれど、聞くまで離してくれないだろう。そういう訳で、私はリナのお説教を2時間聞き続けた。今度からは、話し合いをしてから何かしようと、魂に誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る