第12話 孤児院の周りの事件解決

 私は、リナからの説教を聞いた後に、ガロウさん達に報告しに行った。

「ガロウさん、ちょっといいですか?」

「ルノ、ちょうど良かった。何か外が騒がしいが、何かあったか?」

「その件含めて、説明しますね」

 そして、ガロウさんに異能力を使って孤児院の周りの事件の黒幕であろう人々を捉えた事や、エカバリー公爵家の暗殺部隊がいた事を説明した。すると、しばらく聞いていたガロウさんだったけれど、聞き終わるとこう言った。

「なんで、自分からそう危険に突っ込みたがる?」

「それは、私もそう思います。ルノ様は危険に足突っ込みすぎます」

「ちょっと、2人とも私の話聞いていた?」

「聞いた上での感想だ……」

「聞いた上でそう思ったんですよ……」

「何でそうなるの?」

「とりあえず、ダラグと月影にその事言ってないんだよな。まぁ、あいつら起きるの遅いから、起きた時に報告しとく」

「ありがとうございます」

「あと、お前の実家の問題はどうする?」

「こればかりは、原因が分からないから、手出ししない方針で行こうかなと」

「いや、不安だからやめてくれ。これ以上悩みの種増やさないでくれ」

 ガロウさんは、完全に困っている。でも、原因不明だから、そっとしておこうと思っている。だって、もうエカバリー公爵家の人間じゃないから、私が行く事は無理だ。仮に行けたとしても、黒幕が誰なのか分からない。さらに言うなら、私の異能力は開花している。この事が、公爵家にバレたら、私は公爵家のためだけに働かされるだろう。そんなの、嫌すぎる。だから、このまま大人しくしていよう。

「意見を変える気は無さそうだな」

「ええ。いくら、ガロウさんでもこればかりは譲れないわ」

 そうたとえ、上司であり、恩人であり、好きな人でも、こればかりは変える事はしない。すると、じっと見ていたけれど、やがてガロウさんの方が恥ずかしくなってきたのか、ぷいっとそっぽを向いた。心なしか、顔が赤い。

「ガロウさん?」

「わかったわかった。じゃあ、危険地帯に1人で足を突っ込まないでくれ。それを約束したら、実家の問題は目を瞑る。約束を守れないんだったら、俺たちがエカバリー公爵家に突撃するけどな」

「わかりました」

 そう返事をしたら、頭を撫でられた。いつも、乱暴な口調の割には、すごく優しく撫でて貰えた。私の顔も赤くなってきた。心なしか、恥ずかしい。ガロウさんの顔をまともにみる事ができない。リナに助けを求めようとしたら、いつの間にか、いなくなっていた。仕方がないので、しばらく下を向いていた。

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 エカバリー公爵家のリリシャの部屋。リリシャは暗殺部隊の報告を待っていた。しかし、待てども待てども、報告が来ない。

「ルノ相手に手こずっているはずがない。でも、なんで報告がないの?私の異能力はいつ開花するか分からないから、ルノを殺そうとしたのに、暗殺部隊の報告遅すぎるなぁ」

 リリシャがこう言うのには、訳がある。異能力開花の持ち主を殺すと、一時的にカプセルの中に異能力が開花した状態で落ちる。この状態のものを拾い、自分の胸のあたりにそれを埋め込むと、異能力がゲットできる。さらに、異能力を持っている人だと、異能力が開花する事ができる。だから、何としてでも、姉を殺そうとしている。危険極まりない思想だった。

「早く来ないかなぁ。あーあ、楽しみ」

 しかし、リリシャは能力が何か知らなかった。それが、彼女の命取りになると知らずに、暗殺部隊の帰りを待った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……」

 時を同じくして、エカバリー公爵家の当主カルバー・エカバリーが、リリシャに用があったため、リリシャの部屋の前に立っていた。盗み聞きは、良くないと思っていたけれど、驚きの内容が聞こえてきたから、盗み聞きみたいなことになってしまった。まさか、ルノが異能力開花をしているなんて知らなかった。地下牢に向かおうと思っていたが、リリシャの言い分では、どこかの孤児院にいるらしい。

「……サジェ、いるか?」

「はっ。何なりとご命令を」

「ルノのいる孤児院を調べて欲しい」

「承知しました」

 ルノのいない間に事態は不味い方向に動き出している。そんな事はつゆ知らず、ルノ捕獲作戦が始まってしまった。

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