第13話 この不思議な気持ち(sideガロウ)
「全く……。俺の心配ももっと考えて欲しい」
ルノの頭を撫で終わった後、ルノと別れて1人部屋の中にいる時、ポツリと言葉が出た。そして、ルノとの思い出を振り返っていた。
ルノを最初に見た時、最初に思った事は、年齢に比べては細い人だと思った。まぁ、料理が出来るって鑑定でわかったけれど、そうでなかったら、あのままだったと思うと、ゾッとする。後、他の怪盗(まぁ、特に邪な事考えているやつ)だと、俺らの所みたいな待遇になったか分からないからな。そう考えると、結構危険な状態に立たされていたんだろうな。あのままだったら、いつ倒れてもおかしくない。
令嬢かどうか怪しかったが、令嬢だと聞いた時には、すごい衝撃が走ったな 。倒れてもおかしくない、と納得した。後、令嬢なのに、なぜ料理ができるのか疑問だった。まぁ、聞かない方がいいだろう。
それにしても、虐げられている令嬢ってマジか。貴族ってろくなのいねぇ。しかも、虐げている理由しょーもな。自分の家族大切にしろよな。そのついでに、メイドも監禁すな。何か、色々と幼稚すぎるな、エカバリー公爵家。そんな所に盗みに入る俺らの身にもなれ。まぁ、口に出しては言わない。そして、ふと思った。「こんなに良い奴閉じ込めて、存在されてないんだったら、俺らが有効活用してもいいな」と。どうせ、正体バレてるし、俺らは料理の面ですごく困っているし、こいつもいい生活送れるしでいい循環だと思った。そして、怪盗団に入る事になった。
入った日の翌日に、朝ごはんの件で「ようやく、ゴミ箱から取って来たものじゃない普通のご飯が食べられる」って言っていた時は、エカバリー公爵家が非人道的すぎると思った。ルノは泣きながら、朝ごはんを食べていたから、よっぽどだったんだろう。
そして、孤児院でも、1悶着あった。リルがいなくなったため、ルノが探しに行った。それを聞いた俺は、生きた心地がしなかった。孤児院の外は危険だったから、俺も探しに行った。そして、リナの力を借りて探してもらった時は、ルノとリル、凍った男がいた。なぜ、凍っている?疑問はあったが、無事で良かった。
しかし、その翌々日、つまり今日何か外が騒がしいと思っていたら、外に行く前に事情がわかった。ルノが「蜘蛛の巣を張り巡らせて、犯人を捕まえたんだ」と聞いた時は、「なんで、大人しくしていないかな」と思った。もしかして、俺が心配しているのは、おかしいのか?そして、ルノの報告を聞くと、エカバリー公爵家がまた良からぬ事を企んでいるらしい。勘弁してくれよ。
そんな事考えていたら、ダラグと月影が起きて来た。
「おはようございます。何か、あったのですか?」
「報告、聞きに、来た」
「おう。実はな……」
俺はルノから聞いた事を2人に話した。ルノの実家の件についても話した。
「……というわけなんだ。お前達に頼んだ依頼は、ルノがクリアしたから」
「という事は、しばらく私達は暇という事ですか?」
「そんなわけないだろ。拠点がまだ見つかってないんだ。拠点を見つけたら、ゆっくり休め」
「わかった」
「分かりましたよ。……ところで、ガロウ、何か嬉しそうですね?何かあったんですか?」
「そんな訳ないだろ」
「あっ、もしかして、ルノと何かあったんですか?ルノといる時、あからさまに態度違いますからね」
「そういう月影はどうなんだ?リナと喋る時、すごく嬉しそうだが?」
「……そんな風になっていますかねぇ」
「よし、リナにお前の女癖は悪い事を話しておこう」
「はい?それとこれとは関係ないじゃないですか」
「いや、今まで色んな人と遊びに行ってもつまらなさそうにしていたお前でも、リナは別なんだなと思ったよ」
「分かりましたよ。ルノとの事は何も言わないので、ガロウも何かリナに言わないで下さい」
恥ずかしくなってきたのか、月影は降参した。顔が真っ赤だ。俺も大人気なかったので、反省した。
この頃には、ルノの実家が何か動いているなんて、気づいていなかった。
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