第2章9話 ガロウの心配(sideガロウ)
今日は、久しぶりの休みの日だ。ここ最近は、疲れる事が多かった。
なぜなら、ルノが『働く』と言い出したからだった。ルノ曰く、ルノ達の日用品でかなり使うからだそうだ。だから、その分を働くと言っていた。別に、盗みに行けば、そこまで気にする事はないと思った。
元々、ルノは頑張り屋だ。さすがに倒れるまでは働かないが、それでも何故そのような事をするか分からなかった。だって、急に足りなくなるはずはない。なぜなら、それまで、生活出来ていたから。
俺が考えても分からなく、1日がどんどんすぎていく。そして、1週間ぐらいたった。気がつけば、1ヶ月がすぎていた。その頃には、俺ももう考える事をやめた。その頃に、ようやくルノは、働く事をやめた。それから、本当に忙しそうにしている。これだけ動いてて、大丈夫なのか心配になる。
真相が分かったのは、6月15日の日だった。フォルケル国では、暦がわかりやすいように、数字にしている。転生者の知恵だ。まぁ、暦に関しては最初からそうなっていたが、『カレンダー』という、日にちを表す『印刷物』がある。そのカレンダーが、転生者の知恵だ。ちなみに、印刷物も別の転生者の知恵だったりする。
話を戻そう。6月15日に、ルノが俺の事を呼んだ。『少し見て欲しいものがあるから、こちらに来て欲しい』と、呼ばれてから、見に行った。ルノに案内されて、着いた場所で待っていたのは、
「お誕生日おめでとう、ガロウさん」
「お誕生日おめでとうございます、ガロウ様」
「お誕生日おめでとうございます、ガロウ」
「誕生日、おめでとう、ガロウ」
……俺の誕生日会の会場だった。嬉しいけど、これってもしかして……。
「ルノが働いていた理由って、これをしたかったのか?」
「うん。サプライズにしたかったの。驚いた?」
「あ、ああ。そりゃ驚くだろ」
「あとね、プレゼントがあるから受け取って欲しい」
「プレゼント?」
「うん。はいこれ、どうぞ」
そう言われて、ルノから小包をもらった。開けて見ると、中には、前に俺が欲しいと言っていた腕時計があった。
「……これ」
「あ、あれ?反応が薄いですね。持ってたっけ?」
「いや、大丈夫だ。あんがとな」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「ただ、こんだけしてもらっているのに、ルノの誕生日を祝わないのもおかしい気がする。何か欲しいものとかないか?というか、誕生日いつなんだ?」
「私は、9月12日です」
「月影様、今ガロウ様が聞いているのは、ルノ様ですよ。ちなみに私は10月23日です」
「2月、6日」
「お前らには聞いてねぇが、用意手伝ってくれたらしいから、その時に祝う。ルノは?」
「私は、大変言い難いのですが、……6月10日です。もうすぎています」
「そ、そうか。今度何か買ってやるから、泣くな」
その日は、もう楽しかった。楽しかったし、嬉しかった。その日はみんなで大きなケーキを食べた。その何気ない日常の風景が、楽しかった。
後日、ルノにはネックレスをかった。面白い効果がついていたネックレスを、ルノに買った。ルノはとても喜んでくれた。なので、来年は忘れないようにする。
余談だが、ルノはルノの祖国のティスサ国では、成人扱いされるが、フォルケル国では、あと2回誕生日を迎えないといけない事になる。リナが、『早くルノ様と飲み比べしてみたいです』と言ったあとのルノの苦笑いの顔は、しばらく俺は忘れない。
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