第4話 ルノを入れた理由

 私とリナは、ガロウさんに連れられて、とある小さな廃屋にやって来た。ガロウさん曰く、ここの地下を拠点にしているそうだ。

「広いですね」

「そこまで広くないだろ……。まぁ、3人だと狭いから、一応拡張しているけどな」

「3人しかいないのですか?」

「リナ、もともと宵闇怪盗団は、それぞれの能力が優れているから、少人数でいいの。それに、無闇に仲間を迎えたら、彼らの足でまといになりかねない」

「怪盗の事を調べたのは、聞いたが、そんな事まで調べていたなんてな……」

「と言う事は、他の怪盗団は、大人数でもいいのですね。あれ?そうだとしたら、ルノ様をなぜ怪盗団に入れることを、決めたのですか?」

「そう言われて見れば、何故なの?」

「俺の異能力は、知っているか?2つあるが、1つしか公表してないから分からないと思うがな」

「えっと、『雷を自由に操る』から、『ショットサンダー』って言う異名がありますね。でも、もうひとつは分かりません」

「異名は無視してくれ。しかし、気づかないか。俺のもうひとつの異能力は、『鑑定』だ」

「えぇっ?!」

『鑑定』とは、異能力が発現する人の中でも、レアな異能力だ。

 この世界は、色々な事柄で、分類がつく。そして、様々な物にレア度がつく。それは、異能力も同じだ。

 異能力は、『戦闘用異能力』、『非戦闘用異能力』と『実用的異能力』などがある。

『鑑定』は『実用的異能力』の使われるレア度の中で2番目に、レア度が高い異能力だ。

 ちなみに、レア度の表し方は下から、『地』、『草』、『木』、『雲』、『空』、『星』、『宙』だ。まぁ、普段使わないレア度を含めると、1番上に『光』が入るが、これは、それまでに発見されなかった異能力だから、使える人は、唯一無二だ。だから、レア度が高い。

『鑑定』は、まぁまぁ珍しい方の部類だ。だから、持ってる人に出会えるかは分からない。

「ということは、私達の事を『鑑定』したのね」

「ステータス見させてもらったが、なかなかよかったぞ。だから、怪盗団入りを決めた」

「分かりました。それで、私とルノ様は何をすればよろしいでしょうか?」

「そうだな……。まだ、具体的には、決まっていないが、基本的には雑用係になると思う」

 そう言って、彼は、私の方を振り返った。

「どうする?今なら、まだ引き返せるぞ」

 私は、迷わず、即答した。

「これから、よろしくお願いします」

「決まりだな。頑張れよ、期待の新人」

 そう言ったガロウさんは、ニッと歯を出して笑った。それを見て私も嬉しくなった。だから、できるだけ彼の期待に沿うことにしよう。そう決意した。

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