第5話 宵闇怪盗団が怪盗団になった訳
それから、しばらくして扉の開く音がした。どうやら、ガロウさんの仲間が帰ってきたらしい。
「ガロウ、帰って来ました」
「うわっ、可愛い子2人いるじゃん?!この子達どうしたの?」
「ダラグ、月影おかえり」
「ゾンビに吸血鬼……ですか?」
「そうだよ。よくリナ分かったね」
残りのメンバーは、この2人。ゾンビのダラグさんと吸血鬼の月影さんだ。……まぁ、ダラグさんの方は、人間と言われても大差ないぐらいの肌色だけどね。
「なぜ、いる?」
「そうですよ!……まさか、エカバリー公爵家と違うところ行って寄り道して来たとか?!」
「今回はしてない」
「信用、できない」
「私もダラグと同じく」
「一応、俺団長なんだけどな……。今回は、孤児院に誓う」
「じゃあ、やってない」
「はいはい、分かりましたよ!信じればいいんでしょ、信じれば!」
「「孤児院(ですか)?」」
「おっと、まだ新人には言ってなかったな。俺らがお宝盗む怪盗団に入ったのは、孤児院のためなんだよ」
それから、ガロウさんが昔話をはじめた。
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今から、随分と昔の事だ。俺と月影、ダラグの3人は、他国の戦争で、親が亡くなった。まぁ、戦争というか、一方的に攻められていた時だったけどな。他国の狙いは、俺たちの国の資源だった。レアな宝石を取りたくて、随分と前から、採掘権を求めていたが、話しが平行線のままだったから、奇襲攻撃をされてしまった。俺たちの親は真っ先に殺された。運よく俺たちが生き延びられたのは、みんなで遊びに邪の森に行っていたからだ。遊びが終わって、家に帰ったら、親が亡くなっていたから孤児院で、預かってもらえる事になった。その時に、3人出会った。
それから、3人一緒に過ごす事が何となく、増えて来た。やがて、戦争が終わったら孤児院に恩返しがしたくなった。そこで、孤児院に何かして欲しい事はないか、聞いたら、子供たちの面倒を見ることにした。ある時、孤児院の子供たちに、こんな事を言われた。
『貴族ってろくなのいないねー』
『いっその事、お金無くなればいいのに』
『そうだ!ガロウ兄ちゃん達、怪盗団になってよ!』
『はぁ?何でだよ』
『そしたら、無駄なお金使わないで、領民の事、見てくれるでしょ?』
『それ、いいじゃん!』
『さんせー!ガロウ兄ちゃん達、お願いだよー』
『うっ……。分かったよ!やればいいんだろ!やれば!』
『『『ありがとう!ガロウ兄ちゃん達!』』』
それから、俺たちは怪盗団をはじめたけど、才能があったらしく、どんどん成長していった。やがて、俺たちが盗みに入ると、新聞のニュースになるぐらいだった。そして、テスター子爵家の次に、エカバリー公爵家に盗みに、入ったら、ルノとリナが地下牢にいた……。ってわけだ。だから、俺たちのためじゃなくて、孤児院のために働く事になるな。まぁ、頑張れよ。
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