第2章11話 光狼神の祝日

 今日は、狼獣人系統と、人狼、狼男は仕事を休める日。なぜなら、今日は光狼神こうろうがみが定めたと言われる、祝日だから。ちなみに、フォルケル国には各種族にこういった日は設けられている。ティスサ国など、他国を見てもこういった例を見るのは、稀だ。

 しかし、彼らは仕事がなくても、この日だけやるべきことがある。それは、願い事を近しい人に言う事だった。

 何故かと言うと、光狼神は、人が努力をする姿を見るのが楽しかった。だから、狼人おおかみびと達に、努力を忘れない心を作ったと言われている。実際に、狼人達は、努力家な人が多い。その努力家な面を忘れないために、そして、努力を怠らないために、光狼神に伝える意味で、近しい人に目標を言う。

 だから、ガロウさんとリルちゃんの目標発表が、今日あるのだけれども、2人共特に今日の事が分かっていなかったみたいで……。

「ガロウさん、リルちゃん、発表は?」

「発表?何のことだ?」

「発表って、なーに?」

「いや、今日は、光狼神様の祝日でしょ?近しい人に発表しないとダメな日でしたよね?」

「うっ……。そうだった……。すっかり忘れるところだった」

「早くしないと、ガロウお兄ちゃん働かされるねぇー。私も発表しないとー」

 そう。リルちゃんの言う通り、近しい人に目標を言うのを怠ると、その年の祝日はなくなり、働かなきゃダメと言われている。その事をガロウさんとリルちゃんは忘れていたらしい。

「昼飯ん時に言うか。どうせ、それ以外には集まんねぇし」

「賛成ー」

「じゃあ、そう伝えますね」

「おう。あんがとな」

 そして、待ちに待った昼ご飯。ガロウさんとリルちゃんが発表する事になった。

「俺の今年の目標は、もっと技術を向上させる事だ。あんがとな」

「私の今年の目標は、何か運動を始めたいー」

「今日って、何かありましたか?ガロウとリルが同時に発表するって、何の日か分からないのですが」

「月影さん、光狼神の祝日ですよ。だから、発表したんです」

「ああ。なるほど。ガロウがこんな事覚えているとは思いませんでしたよ。どうせ、ルノが言って気がついたのでしょうけど」

「月影、黙れ」

「はい」

 私達は、それからご飯を食べて、来年もこの日までいられたらいいなと思っている。

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