第2章3話 食事当番の悩み

「困ったなぁ。リナ呼ぼうかな?」

「ルノ、どうした?」

「ひゃっ」

 私は、悩んでいたからか近づいてきたガロウさんに気がつかなかった。だから、びっくりして声を出してしまった。

「びっ……びっくりした。ガロウさん、どうしたんですか?」

「ああ、何か困っていそうだったから、声かけたんだが……。何か困ってるのか?」

「いや、今日のご飯のストックが無かったんですよ。それで、作れる物が少なくて、どうしようかなって思うんですよね」

「そんなに、少ないのか?」

「冷蔵庫のほとんどが、空です。5人分あるのは、野菜ばかりで、多分サラダになります」

「マジか。肉無いのはキツい」

「お肉は、そんなにないです。あっても、1人分が限界です」

「一応、買い出し係月影なんだが、何やってんだ?」

「月影さんなら、さっきリナと買い物行きましたよ」

「なら、帰ってくるのを待とう」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 20分後。月影さんとリナが、帰ってきた。

「おかえり。月影、食材買ってきたか?」

「いいえ?私達が買ってきた物は洗剤と氷の魔石と火の魔石ですよ?食材は、前回作った人が、何も書いていなかったので、足りていると思って買っていないですよ?」

「食材が足りねえんだよ!ていうか、何で書いていねえ!肉もねぇ!野菜しかねぇ!サラダだけは嫌だ!」

「ルノ様、何かあったのですか?」

「食材が野菜しかないって事を伝えたら、あの様子になっちゃって」

「ああ、なるほど。前回の当番って、リナでしたっけ?」

「いいえ。ルノ様が知らないってなると、ダラグ様では?」

「私もそう思うわ」

「ダラグの元へ行く。ダラグー!」

 そう言い、ガロウさんはキッチンを出て行った。そして、しばらくすると、キッチンに戻ってきた。

「ダラグも知らないらしい」

「どういうことでしょうね?ダラグの記憶力は確かなものですけれど……」

「とりあえず、早く食材買いに行かないと、晩御飯間に合わなくなりますよ?」

「それもそうだな。月影、原因調べておいてくれ」

「分かりました」

「買い物は、しておいた方が良いですか?」

「ああ、頼む」

「ではルノ様、行きましょう」

「分かった。ガロウさん、少し出かけます」

「おう」

 私達は、町に着いた。まず最初に向かったのは、精肉店だ。

「こんにちは」

「こんにちは……」

「おう、リナちゃんにルノちゃん。いらっしゃい。肉無くなったのか?」

「無くなりましたね。何故か無かったんですよ」

「はっはっは、冷蔵庫の管理は難しいからなぁ。気をつけるんだぞ」

「ありがとうございます。とりあえず、ここに先にきたので、これとこれとこれをお願いします」

「おう。分かったよ」

「ありがとうございます」

「ありがとうございました」

「はっはっは。また来いよ」

 次は、卵を買いに行く。

「いらっしゃい。いいのが揃っているよ。朝1番に取れた卵もあるよ。……おや、リナさん、ルノさん、いらっしゃい」

「卵を3パックぐらいお願いします」

「いつもありがとうございます」

「頑張って下さいね」

「頑張る」

「ありがとうございます」

「ありがとうございました」

「また来てね」

 私達は、買い物を終えて基地に戻った。何か静かだった。とりあえず、冷蔵庫に買った物を入れる。その時だった。私の背後に誰かが立っている。振り返って見たら、ガロウさんだった。

「おかえり。どうだったんだ?」

「心臓に悪いので足音を出して下さい……」

「?分かった」

「一応、お肉と卵を買って来ました」

「そうか」

「結局原因はなんだったんですか?」

「まだ分からねぇんだよ。分かったら教える」

「なるほど」

「とりあえず、飯作ろうぜ」

「そうですね」

 私は、ご飯を作って出した。もう、夜ご飯を食べられる時間のようだ。お腹がすいた、ガロウさん達がお肉の取り合いをしていた。私とリナは、野菜と卵を食べられるだけ食べて、お肉は少なめに食べた。

 後日分かった事だが、冷蔵庫の中身は、リルちゃんが食べちゃったらしい。孤児院の許可を得て、私達のところにきたはいいものの、誰もいなくて、お腹がすいたから、冷蔵庫の中身をつまみ食いしたらしい。その事実がわかったのは、孤児院に帰ってきたリルちゃんが数時間後、お腹を壊したから。孤児院の院長先生に事情聴取をされ、こってり怒られて、院長先生と謝罪にきた。院長先生は、弁償すると言っていたけれど、犯人が分かっただけで良かったから、私達は許した。だから、孤児院の子供達が来てもいいように、お菓子をストックしておく事にした。おかげで、冷蔵庫の中身が減る事は無くなった。

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