第2章19話 ホワイトデーのお返し(sideガロウ)

「月影、ダラグ、お前らにひとつ質問だ」

「何ですか、急に改まって」

「悩み、聞く」

「実は、ホワイトデーのお返し何も決まっていないんだ。どうしたらいい?」

「真剣な顔してた割に悩んでいる事が私と同じとは。ルノさんが聞いたらガッカリですよ」

「うぐぐ……」

 俺たちはホワイトデーのプレゼントを何にも考えていなかった。そのせいで、月影に言われたい放題だった。と、思ったら……

「ダラグ、プレゼント、用意、してる」

「「は?」」

「ホワイトデー、近い、だから、お菓子、用意」

「「ええ……」」

 そう。ダラグだけ準備万端だった。心の中で思わず裏切ったな、と思った。言われて見れば、ダラグは即決力があるし勘も冴え渡っている。決まらない方がおかしいかと納得した。

 さて、そうなると、前言撤回。俺と月影がホワイトデーのお返しを用意していない。

「どうしましょうかね?」

「うーん、でも義理分は用意している。後は本命だけだ」

「それは、私もそうですよ。何かあったらいいんですけどね」

 その時、鳩が飛んできた。手紙が挟まっているので、恐らく伝書鳩だろう。俺たちの知り合いで伝書鳩飛ばしてくるやつは1人。

「どうせまた彼女の自慢なんだろうな」

「助けましたが、元気にしていますくらいの反応の方がいいですね」

 とりあえず手紙を受け取る。鳩は帰っていった。そして、手紙を見る。書いた人は、やっぱりドグだった。

 ドグとは俺たちがルノの実家エカバリー公爵がルノと結婚させようとした相手だ。まぁその時に2人とも反対していたから俺がブチ切れて突入、後にエカバリー公爵をぶっ潰した。

 ドグはその後から俺たちのことを『自分達の恋仲を繋いでくれた兄貴』として、慕ってくれている。しかし、俺たちに会いに会いに行けないのが現状なので、定期的に伝書鳩を飛ばされる。そこで、近況報告と彼女の自慢が書かれているのがいつもだった。

 しかし、封を開けて見ると、内容がいつもと少し異なっていた。

「縁結びの石?」

「動物と遊べるアスレチック?」

 何かレジャースポットみたいなおすすめがある。そこでこの手紙の1番上を見たら、『ホワイトデーおすすめスポット』と書いてあった。全3枚あり、1枚目と2枚目がおすすめスポットの紹介だった。3枚目は、いつもの手紙だった。

「正直、これはありがたいですね」

「だな。今度お礼言っとくか」

「どこに行くか早速リナと決めて行きますよ」

「俺も行くか」

 そして、俺たちが行きたい場所は月影とリナの所と見事に被らなかった。俺たちは温泉に行きたいと言っていて、月影達は森林浴に行くことになった。

 そして、当日。俺たちは温泉を満喫して、他の奴らにお土産を買ったら、月影達も同じ事を考えていたけど、行った所が被んなくて良かった。

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