第2章18話 それぞれのバレンタイン

 今日はリルちゃんが珍しくアジトに行きたいと言うので、行く事になったが、何故か私とリナがいて欲しいらしい。そしてガロウさん達男性はいない時の方がいいと言っていた。

「なんで?」

「ルノさん達は知らないのですか?」

 そうリルちゃんが言うと、耳打ちしようとしてきたが、届かなかったので、私がしゃがんだ。

「この国の行事で、バレンタインと言うお祭りがあるんですよ。普段お世話になった人や、好きな人にチョコレートを渡すんです。渡すチョコは本命と義理の2種類あって、好きな人には本命チョコレートをあげるんです」

「そうなのね。ガロウさん達に内緒の理由は?」

「サプライズにしたいからです。喜ぶだろうなって。でも、私も孤児院のみんなにチョコレートをあげたいので、レシピを教えてください」

「分かりました。ルノ様、台所に行きます」

「えっちょっとリナ?」

 こうして、妙に張り切るリナとリルちゃんに押されて台所に入った。そして、私たちはチョコ作りを開始した。

「ルノお姉ちゃんとリナお姉ちゃんは料理出来るんですね。私は院長先生が料理を許してくれないから作る機会がなくて作れないですよ」

「でも、リルさんも手つきがいいですよ。少し練習出来ればすぐ上達出来ると思います」

「本当?院長先生に頼もうかな?」

 そんな他愛ない会話をした後、無事にチョコが完成した。

「簡単ですね」

「美味しそう」

「じゃあ、渡す時用にラッピングしましょう」

「「賛成」」

 私たちはチョコをラッピング袋に詰めて置くことにした。そのまま、当日を迎える事にした。




 バレンタイン当日。ガロウはルノから生チョコをもらい、月影はリナからチョコレートボンボンをもらった。どちらも本命だ。そして、リルの作ったチョコレートは孤児院の人達に大人気だった。ちなみに、ダラグはもちろん全員から義理だった。

 そして、リルのチョコレートは美味しいと言われたので、院長先生の目の届く時に料理を習う事になった。リルは、物販出来るようになったら、孤児院の利益にしたいと言ってた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る