第2章17話 好きな飴ってなんだろな(sideリナ)(後編)

 私が目を覚ますと、そこは見知らぬ所でした。さらわれた時の記憶が蘇り、怖くて足がすくんでいました。

 私はこの時、両手両足を縛られていてその事も恐怖に感じました。これから何をされるのか、幼い子供のように恐怖を感じていた。

(誰か助けて……)

 そして、今まで揺れていた地面が急に止んだ。おそらく馬車に乗せられていて、目的地に着いたんだろう。

「下ろすぞ。くれぐれも箱を壊すなよ」

「へいへい」

「こいつってどうすんだっけ?」

「馬鹿、忘れちまったのかよ。こいつはオークションに出すんだよ。裏のオークションにな」

「そうだったそうだった」

(裏のオークション……)

 裏のオークションとは、オークションでは出せない品物を売る。その一覧の中には、人も入る。

 当然、あるなら潰さないと被害が増える。しかし、私は何もできない。フララもいないので、本当に何もできない。

 怖くて、何もできない。その事がただ悔しかった。同時に、フララがいないと自分の身を守るすべがない事も歯がゆかった。

 そして、会場まで運ばれているのか振動が来ている。

 やがて、会場に着いたのか振動が止まった。そして、私が入っている箱を開けた。そのまま私は、持ち上げられた。

「今日は、特別に手に入ったこの奴隷を買うことができます。早い者勝ちですよ」

(怖い……。ルノ様、ごめんなさい……)

「50万からどうぞ」

 そして、どんどん言い値が上がってきた。怖くて目を閉じたその時、会場の後ろの方が騒がしかった。

「コウモリが大量に出ているの」

「吸血鬼じゃないか」

「嘘、吸血鬼なんて歯が立たないわよ」

 会場がザワザワしていると、急に雷が走った。

「落雷?」

「おいおい、冗談よしてくれや」

「お金返して」

 私は、おそらく状況を察した。そして、徐々にオークションに来ている人々に不安がよぎりはじめる。

 そして、その時は突然きた。怪盗団の皆が助けに来てくれた。その事が私はとても嬉しかった。

 そして、私は隙をついたルノ様に運ばれました。怪盗団の絆がすごいと思った出来事でもありました。

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