第9話 ルノに迫る危険
私達は、孤児院に帰っている。私に至っては、リナに怒られるという恐怖を抱えながら、帰っている。そして、孤児院に着いた。孤児院の入口付近で立っているのは……、リナだ。かなり怒っている。にこにこしているけれど、背後に纏うオーラが黒い。
「ルノ様?」
「はい!」
「少し、お話しましょうか?もちろん、聞かないのは、ダメですよ?」
「滅相もございません!」
そして、私はガロウさん達と別れて、1人リナの説教を受けた。
「わかりましたか?」
「はい。……ところで、ガロウさんに私達の位置教えたのって、やっぱりリナ?」
「はい。そうですね」
リナは、蝶を操ることができる。決して、派手な行動はできないけれど、精度が高い。
「それよりも、ルノ様。異能力が使えるようになったのですか?」
「そうね。氷と蜘蛛の糸が使えるようになったわ」
「公表しない方針で行きましょう。ガロウ様達には、伝えた方がよろしいかと思われますが、あまり広めることはしないように、気をつけましょう」
「わかったわ」
結局、また帰れなくなり、孤児院に泊まりました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここはエカバリー公爵家の、とある部屋。とある人、ルノの妹のリリシャ・エカバリーは、情報を待っていた。そして、ついにその時はきた。
「ルノの居場所が、分かりました」
「あいつは、今、どこにいるの?それとも、死んでいるの?」
「それが……」
「さっさと言いなさいよ。どうせ、死んだんでしょ?」
リリシャは、ルノのことを姉だと思っていない。自分の手駒だと思っている。しかし、地下牢が壊れていて、イノシシの死体が、あった。その時に、食べられたと思ったが、イノシシが死んでいることが説明がつかない。だから、逃げ出したと思っている。それで、死んでいるなら滑稽だなと思っていたところに告げられた真実に耳を疑った。
「ルノは生きていて、宵闇怪盗団の一員になっています。しかも、異能力が開花したようです」
「えっ、嘘でしょ?!なんで、あんなやつが、異能力開花してんのよ!」
「残念ながら、本当です」
リリシャにとっては、その言葉は、残酷以外に表現出来ない。前者の情報だけでも発狂物だが、後者はさらに、不味い状態だ。リリシャは、異能力は使えるが、開花していない。異能力が開花していると、加護も貰える状態で、複数の異能力が使える。しかし、異能力に適正があることが条件だ。開花している姉と、開花していない妹。異能力を第一に考えている家だと、選ばれるのは、間違いなく前者だ。そして、ここ、エカバリー公爵家は異能力を第一に考えている。自分が、必要無くなる日も近い。おまけに、宵闇怪盗団と言えば、イケメンしかいないことで有名な怪盗団だ。面食いのリリシャが、黙っているはずがない。つまり、今までずっと下にみていた姉が、美味しいところを全部持って行ってしまったのだ。こんな事は、リリシャにとっては、屈辱に近い。こうなったら、することは1つ。
「ルノを暗殺してきて」
「正気ですか?お嬢様」
「そうよ。あいつがいなくなれば、全て私が得ることができるのよ。そのためなら、暗殺なんて、簡単でしょう?」
自分は今までずっと、姉と似ていたこの容姿が嫌いだった。しかし、姉を殺せば、異能力が手に入る。しかも、宵闇怪盗団に入ることができて、毎日イケメンを拝める。リリシャにとっては、一石三鳥だった。
「とにかく、殺してきて。命令よ 」
「分かりました」
使用人が去ったあと、リリシャの部屋では、奇妙な笑い声が聞こえたという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます