第8話 隠された事実
リルとルノがいなくなった。そう聞いた俺は、2人を探しに行った。無事だといいんだが、いや頼む、無事でいてくれ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私の頭は混乱している。なぜなら、よく分からないうちに、異能力が使えたり、よく分からない美女2人が突然出てきたりしたからだ。もしかして、この2人がさっきのことを話してくれるのだろうか?でも、なんか良くない雰囲気を感じる。そう、思っていたら、蜘蛛の糸を出してくれたと思われる紫の着物っぽいものを着た人が、先に口を開いた。
「お主、わっちが先に我が主に会いに行くことを決めておったのに、お主が先に、妨害をするとは思わなんだ」
「あなたもまだまだ、子供ですね。いくら、数百万年ぶりに、主を見つけたからと言え、そこまでむきにならなくても、いいじゃないですか?」
「お主、わっちが子供と申すか?!よかろう、こうなったら、勝負じゃ!」
「あのー、お忙しいところすみません、この状況説明して欲しいのですが……」
「我が主、ほっといてごめんなのじゃ。わっちは、女郎蜘蛛の長じゃ!それで、こやつが……」
「主、わらわは雪女の長です。よろしくのぅ」
「えーっと、名前は、なんて言うんですか?」
「名前なんぞない」
「わらわも同じく」
「だったら、私がつけてもいいですか?そうですね、女郎蜘蛛のお方は沙羅さんで、雪女のお方は、真奈さんで」
「気にいったぞ。我が主は名付けのセンスがあるようじゃ!」
「そうですね。あなたと同意見なのは、癪ですが」
「どういう意味じゃ!」
「それで、お2人は、なぜ私に力を貸してくださったのでしょうか?」
こういったら、2人とも、ポカンとした顔をしてしまった。そして、事情を話してくれた。
「力を貸したのじゃない。元々、異能力が我が主に使えるはずだったのじゃ」
「しかし、アクシデントが起こって、渡せるはずだった加護と、渡すはずだった異能力が発現しなくなったのです」
「なるほど。そういうことですか」
「それで、渡せることがようやく出来るようになった時には、家を出ていたのじゃ」
「すぐに発現する恐れもあったので、すぐには渡せなかったのですが、さすがに不味いと言うことで、異能力を発現させました」
「なるほど。……なんか、体が透けてませんか?」
「限界が近いようじゃな。次会う時には、上手く使いこなせるように、指導するのじゃ」
「私も同じくです。では、お元気で」
「あっ、ちょっと」
「ルノ!リル!どこだ!」
ガロウさんが呼んでいる声が聞こえてきた。段々、声が近くなっている。
「ルノ、リル!探したんだぞ!」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい……。出ちゃダメって言われてたのに、出て、ルノお姉ちゃんにも、迷惑かけちゃった」
「とりあえず、孤児院に帰ろう。そこの大男のことも気になるが、安全第一だ」
「分かりました」
そういった後に、私はガロウさんに、抱きしめられた。私は、恥ずかしかったけれど、心配かけたから、大人しくしていた。時々、『あまり1人で行動するな』とは言われたから、『分かりました』と返事した。何分後かには、元の様子に戻ったらしいガロウさんだったが、私は、自分1人で動いたことに、反省した。そして、ガロウさんが告げた一言で、余計、1人で行動しないようにしようと誓った。
「そういえば、リナが『ルノ様はどこですか?』って言っていたから、正直に伝えたんだが、なんか、怒ってるっぽいんだよな。ちゃんと、謝っておけよ」
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