第7話 ルノの開花
私達が孤児院に着いた翌朝。私達は、そこにいた子供たちに、帰らないでと言われて、断ることができずに、孤児院に滞在していた。私は、昨日された話が気になっていたけど、子供たちが普通に過ごせるようになって欲しいと、思った。今は、休憩時間なので、みんなでおしゃべりしている。
「そういえば、何でリナは、孤児院に行きたいって、言い出したんだ?」
「私が元々、孤児院出身だったのです。そこで、しばらく過ごしていましたが、ある日、ルノ様に外の世界を見てみないかと聞かれて、私はルノ様付きのメイドになることが出来ました」
「へぇ、言うこと全く聞いてくれなさそうだった、あの公爵が、言うことを聞いてくれたのか?」
「異能力が発現するのは、7歳からでしたから、それより前は可愛がってもらってましたよ。でも、それ以降は……」
「なるほどな。納得したぜ」
「ねーねー、ルノお姉ちゃん、遊ぼうよー」
「いいよーリルちゃん」
「やったー」
私に話しかけてきたのは、孤児院の子で、青狼獣人の、リルちゃん。この孤児院、実は人間の子供はいない。と言うのも、ガロウさん達の国、フォルケル国は、亜人の人が大半だったから。ちなみに、前にガロウさんが言っていた、レアな資源と言うのは、ルージュ鉱石のことだと思う。あれは、魔法を通すことで、色々な物に変形する不思議な鉱石だから、色々な人が欲していた。しかし、取れる国は、今のところフォルケル国のみだ。それで、戦争が起こったのだろうと、思う。
「ルノお姉ちゃん、孤児院の外行きたい」
「ダメだよ、お外危険だから」
「えーっ、ダメなのー?」
「ダメなものはダメ」
「分かったぁ。じゃあ、ここで遊ぼう」
「そうそう。そうしようね」
しかし、リルちゃんは、チラチラと外を見ている。でも、外行かせるのも、危ないからダメだよと、言ってみた。
遊び疲れたらしいリルちゃんは、寝たいと言って、孤児院の建物の中に入ることにした。そして、リルちゃんと遊ぶ約束をしていたので、しばらくして、リルちゃんを迎えに行ったら、孤児院がバタバタしていた。
「こんにちは、院長先生。バタバタしていますね。何かありましたか?」
「ルノさん、すみませんが、リルを知りませんか?お昼寝の時間が近いのに、見当たらないのです」
「えっ……。リルちゃんは、私と遊んでて、眠いということで、孤児院に行きましたけど……。あっ、でも待ってください、外に出たがっていたからそれかもしれないです」
「本当ですか?外は今、危険です。どんな目に合わされるのか、私達も察しがつきません」
「私、リルちゃんを探しに行ってきます!」
「ちょっと待ってくだ……行ってしまった」
私は院長先生の話を最後まで聞かずに、孤児院を飛び出した。リルちゃんのことが不安だったからだ。孤児院をいつ抜け出したかは、分からないけど、おそらくそう時間はたってないはず。なぜそう思ったかと言うと、他の聞いていた人達の反応からだ。多分、そこまで遠くは行っていないだろう。そう考えた時だった。リルちゃんの声が聞こえた。
「こっちから、聞こえる」
そして、ついに、リルちゃんを見つけた。怖そうな男もいる。こいつが、犯人か。
「リルちゃん!」
「ルノお姉ちゃん……。怖いよぉ……」
「このお嬢ちゃん、お前の仲間か?悪いが、こいつは連れて行きたい」
「ちょっと、リルちゃんを離して」
「孤児院のガキなんて、1人いなくなっても大丈夫だろ」
私はその言葉を聞いて、その男の顔面をグーパンした。
「いってえ!こいつ、タダじゃおかねぇ!お前も、殴ってやらぁ!」
「ルノお姉ちゃん!」
「ッ!」
大男は、かなり怒っていて、私に向かって、強く握った手を私の方に向けてきた。私は、反射的に目を瞑り、両手を顔の前に出した。
「がハッ?!」
「「?」」
その声は、確かに、大男のだった。しかし、何故か、何かに攻撃されたかのような声が聞こえた。恐る恐る、目を開けてみると、大男は、凍っていた。……凍っている?そう思っていたら、手が光っていた。右手から、氷が出ていて、左手から、蜘蛛の糸が出ている。どうやら、蜘蛛の糸が、大男の動きを止めていて、凍らせているようだ。何がどうなっているの?そう、思ったら、目の前に不思議な女性が2人出てきた。
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