第2章21話 眠気の森

 私達は、今森でモンスターを狩っている。

 え?怪盗の仕事じゃない?そう言われれば、そう。でも、戦闘能力のある怪盗(団)は、時々冒険者ギルドの手伝いに行く。

 ギルド同士は、深く強く結びついているから、たまに他のギルドの仕事が回ってくる。ギルド同士は、そんな事は慣れっこ。

 だから、ギルドに入る時に新人に言われる事は、その確認が第1だ。どこのギルドでもそう。

 だから、ある程度は計算もできていないといけない。人手が足りない時商業ギルドに呼ばれるから。

 そして、今日は、冒険者ギルドの手伝いをしている。

 その肝心な仕事内容だけど、この森に出てくる、キノコ型モンスターを倒してとの事。

 そのキノコ型モンスターの名前は、シープマッシュ。羊のキノコってなんだろう、と思った。そのことが顔に出ていたのか、ガロウさんから説明があった。

「あのな、シープマッシュって言うのは、何故羊ってついていんのかっていうと、羊みたいに安眠効果があるからだよ」

「なるほど」

「でも、ルノ様は討伐に出た事がないので、仕方ないないかと」

「リナは知っているの?」

「いえ、私も知りませんでした」

「だよね」

「だろうな。だったら、シープマッシュの攻撃には気をつけろ。安眠効果があるからな」

「「はい」」

 安眠効果か。どれだけ眠れるのか分からないけど、厄介事にはなりそう。

 弱点は一応あるけれど、すぐ倒れるから、ほぼ意味をなさないんだって。でも、増えまくって害を及ぼす可能性を潰したいんだって。

 それに、弱いとは言え、安眠効果があるからそれは良くないと思っているらしい。武器を持っていない人も多いから、それはそう。

「ギー!」

「現れたぞ!気をつけろ!」

 私は、氷魔法で攻撃をする。そしたら、あっさり倒れてしまった。

「ええ……。弱いとは聞いていたけど、こんなに?」

「そりゃ、雑魚は弱いだろ。その代わり、そいつら飛び道具を使ってくるから、気をつけろ」

「ガロウは何体か狩っていますからね。プロの犯行ならガロウまで、と言った所でしょうか?」

「月影、お前の猫のグッズ土に埋めるぞ」

「すみませんでした」

「月影、猫の物、集めてる」

「なるほど」

「最近は、殺伐としていますから……安らぎがほしいのですよ」

「ここ最近は平和でしたが?」

「リナ、聞かないであげて」

「?」

「とにかく、早く帰るためにも、指定の数を狩るぞ」

「「「「うん(はい)」」」」

 そして、私達は、森の中を進んだ。シープマッシュは、思っている程頻繁には遭遇していない。

「ギルド側が嘘ついたか?いや、それは考えにくい」

 ガロウさん曰く、いつもの討伐数だったけれど、あまりに遭遇していないらしい。ということは、まだあまり出現していない段階だったのかな?

「なるほどな。まぁ、それだったら納得はいく。ギルドに依頼が来るのは、大体近くの住民からだ。そんなに見ていなかったんだろうな」

「その後、ギルドの監視作業とかはないんですか?」

「ギルドの人員を割いてまで危険な場所に向かわせて、ギルド登録者がもう一度討伐に向かうのは二度手間だからな。だから、監視部隊みたいなもんはないぞ」

「なるほど」

 そして、帰ろうとしたその時だった。

「ぎゃー!」

「ぎゃー!」

「ぐぐっぐるるるる!」

「えっ、一気に現れた!」

「なるほどな!こいつらリーダー格の奴らがいるぜ!奥に行けば、出てくる感じか!」

 とりあえず、周りのシープマッシュは倒した。あとはリーダーだけだった。リーダーだけはしぶとかったのだ。

 しかし、ガロウさんと月影さんが30分戦って、仕留めた。その影響で、目標討伐数は達成した。

「今度こそ、帰るか」

『うん(はい)』

 ギルドの人から聞いたけれど、シープマッシュが出るからこの森は眠気の森と呼ばれるそうだ。今日の夜ご飯は、キノコ炒めだった。美味しかった。

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