第2章29話 リナの風邪(前編)
ガロウさんからイヤリングをもらって3週間後。私は浮かれに浮かれていた。もうそれはすごく浮かれていた。なぜなら、ガロウさんと婚約者になれたから。想い人と婚約者になれる事ほど浮かれる事はない。いつも通りに過ごしていた時だった。
「ルノ様、ハーブティー飲まれますか?」
「……リナ、休みなさい。今日ばかりは誰も文句言わないわよ」
「え?どうしてそのようなことを仰るのですか?」
「顔!すごく赤くなっているわよ!」
「え?」
「ほら、鏡」
「……あ。分かりますよね、さすがに……」
「いつから具合が悪いの?」
「昨日から悪くて……」
「とにかく今はゆっくり休みなさい。今日ばかりは私が代わりに家事やっとくから」
「うう……ありがとうございます」
「ガロウさん達には私から伝えるわね」
「分かりました……」
リナが風邪をひいてしまった。リナは昔から風邪をひいたら顔が赤くなってしまうので、わかりやすい。一応、鑑定で診てみる事にする。そしたら、案の定風邪をひいていた。そのため、早めに回復魔法を使える人を手配することにする。
それにしても、リナは昔から風邪をひく時は安心できる場所でないと風邪をひかなかった。昔の私の家しかり、保護施設しかり。それを考えると、ここは安心出来る場所だという事になる。安心できる場所じゃないとリナは風邪をひかないから。つまり、リナはガロウさん達に対して、安心できているということになる。男性恐怖症のリナが安心出来るという事は、かなりの時間が経ったなと思った。それは、リナにとっていい成長になるだろう。
「……というわけで、リナはしばらくお休みさせます」
「まあ、それぐらいはいいか。風邪をひかなかった理由もわかったし、風邪をひいてもらった方が安心するんだったら、ここが安心する感じか」
「ヨカ、ッタ」
「月影さんが静かですけれど、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。多分もう少しで落ち着く」
「月影さんに看病をよろしくお願いしますと伝えてください」
「任せてください!」
「急に元気になりましたね」
「まあ、調子の良い奴だからな」
「ガロウ?後で覚えておいてください?」
リナは辛いだろうな。そう思いながら私は昼食を作ることにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます