第2章6話 沙羅と真奈のケンカ
「「(我が)主、どっちが悪いか決めてほしい(のじゃ)」」
「どうしたんですか?というか、何かありましたか?」
いきなり、沙羅さんと真奈さんがどっちが悪い悪くないの言い合いを始めた。
「この人が、いきなり蜘蛛の話題を振るので、やめてほしいと言ったら、『じゃあ、お主も、かき氷の話を突然するでない!』と言われて」
「お主はいっつもかき氷の話を突然振ってくるから、やられた側の気持ちをもっと知れ」
「ケンカはやめてください」
「大体お主はいっつもそうじゃ。こちらの迷惑を考えないで、動き出す。わっちの迷惑をかけている自信はあるかのぅ?」
「あなたには言われたくないですねぇ。あなたこそこちらの迷惑を考えないで突っ走るじゃない」
「そんなことしとらんわ!やっぱり嫌なやつじゃのう!昔はもっと素直だったのに、何でそこまでひねくれたやつに変わってしまったかのぅ!」
「はぁ〜、あなただって、昔はそこまで幼稚じゃなかったですよ!昔の方が優しくて私の憧れですよ!もっとも、今は大きな子供ですけれどね!」
「なんじゃと!」
まさに、一触即発と言う雰囲気だった。その時、1匹の蝶が入ってきた。多分、リナの操っている蝶だろう。
「なんじゃ、こやつは?」
「何でしょう?この蝶は」
『妾のことを知らぬとは、お前ら本当に長どもか?』
どこからか、声が聞こえた。すると、2人は目の前の蝶に集中し始めた。
「まさか、こやつは」
「フララ、ですか?」
『そうなれ』
すると、ボンッと音がして、目の前の蝶はいなくなり、代わりに神々しさを感じる女性が立っていた。
「フララ、久しいのぅ。元気にしとったか?」
「ぼちぼちなれ。お前らの今の名前は、どんな名前なれ?」
「わらわが真奈で、そっちの女郎蜘蛛は、沙羅です」
「なるほどなれ。沙羅、真奈、再開を惜しみたいところではあり。ただ、その前に見過ごすことは出来ぬ。お前らは、主に仕える気があるなれ?」
「わっちは、仕える気がある!今の主をとても気に入っておるからのぅ。手放すことはなるべくならしとぅない」
「わらわも沙羅と同じですね」
「分かったなれ。それなら、なおさらケンカするななれ。ケンカをすると、お前らの主が危険になった時に、お前らが能力を貸しているから、お前らの主を救うことができなくなるなれ」
フララさんがそういうと、2人はハッと何かに気がついたようだった。
「我が主、ごめんなのじゃ。ずっと自分のことばかり考えていたのじゃ。真奈とはなるべくケンカをしないように努力をするのじゃ」
「主、すみませんでした。わらわも、自分のことばかりでしたね。これからは、沙羅とは、話し合って決めます」
「分かっただけでも、成長です。大丈夫ですよ」
私は、笑って2人を許した。2人は、その後、本当にケンカをしないために、わざわざ誓約書を書いたぐらいだった。ところで、私は、フララさんに一言言う。
「フララさん、リナはあなたが蝶の女王って知っていますか?」
「ふむ。さすがに、主は知っているはずなれ。なぜなら、主は本来もっとたくさんの蝶を操ることができるなれ。妾を操っているから、たくさん操ることができないだけなれ」
「ですって、リナ」
「えっ、いるなれ?」
私は扉の前にいたリナを部屋に入らせる。リナはすごくびっくりしていた。
「今、初めて知りました」
そのことを知ったフララさんは肩を落とした。
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