後日談 リナと月影1(side月影)


 ルノとガロウが結婚して十数日後の事でした。その日は、私の用事で買い物に出かけました。


 ルノとガロウが結婚する前までは、ペアで買い物に行くこともありましたが、1人で行きました。元々ルノとリナが買い物のルートが覚えられたらペアでの買い物は終わる予定だったので、ペアでの買い物は終わりを告げました。


 地味に、リナと買い物に出かけることがなくなったので、少々ショックを受けております。ええ、そうですとも。ペアで買い物行こうと言い出したのは私です。直接デートに誘う事はあまりしないので、私は困ってしまいました。


 しかし、これを機にデートに誘うことをしようと思いました。現状も何もかも行動しないと変われませんからね。仕方がないことなのです。そんな風に決意を固めていると、後ろから声をかけられました。



「月影……?」


「えっ」


「やっぱりあなた、月影よね?」


「えっと失礼ですが、どなたですか?」


「私、テティよ?覚えてないの?」


「テティ……?」


「やっぱり覚えてないのね。私はあなたの事覚えているのに!」


「失礼ですが、私とあなたの関係はどのような関係でしたでしょうか?」


「それも覚えてないの?水無月熊みなづきくまのテティよ!関係としては、10年前に海で助けてもらった関係よ!」


「ああー!なるほど、あの時のお嬢さんですか!」


「それにしても、そちらが本性なの?」


「本性……?」



 私が街で声をかけられたのは、10年前に海で溺れかけていた所を助けた水無月熊族のテティでした。確かにそんな記憶もあったなと思いましたが、今頃なんの用件でしょうか?



「昔は、あなたチャラかったじゃない。なんと言うか、なんぱ男みたいな出で立ちだったし、立ち振る舞い方もそうだったわよね?何でなの?」


「いやー、好みの人形亜種族がいなかったので、人形亜種族が嫌いそうなチャラ男に扮していました。こっちが私の素ですよ」


「なるほどね。慣れていない感じあったし、そんなもんか」


「慣れていなかったですか?」


「ええ、それはもう。明らかにチャラ男演じるのが嫌なのかなって」


「まあ、私は役者じゃないですからね」


「という事は、好きな人が出来たのね?」


「ええ、そうですね。出来ました」


「だから、チャラ男を演じる必要が無くなったと言うわけね」



 それだけ言うと、テティは、「引き止めて悪かったわね」と言い、別れた。……何だったのでしょうか?と思いましたが、今は買い物を終えたので、さっさと帰ろうと帰路に着きました。


 帰った時に、ガロウから、「遅い」と言われましたが、事情を話したら許してもらえました。


 この出会いが、後に悲劇を起こすとも知らずに……。

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宵闇怪盗団に花が咲く 月桜 兎 @784136

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