概要
相手が自分のことを好きになると気持ち悪いと思ってしまう茂木愛歩。
そんな二人は愛生の提案をきっかけに恋人関係になる。
そして、卒論の執筆のため、華恋の友人の莉緒、華恋の元恋人の朔空も巻き込んで、性の多様性についての研究を始めることになる。
人が人を好きになるのは当たり前か。
好きになったら相手からも好きと思ってほしいと思うのが当たり前か。
性に関する当たり前を疑うという研究活動の中で、自身のそしてお互いの理解を深める四人。
そしてある事件をきっかけに、優秀な卒論に贈られる賞の受賞を目指すことに。
華恋が愛生を好きになったら、あるいは愛生が華恋に想いを返してほしいと思ったら破綻する関係。
そんな前提で始まった二人の関係の行方は
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!当たり前を疑うということの難しさ
クィア研究とは、性の多様性を勉強する学問のこと。高校二年生の比嘉華恋は、小学校からの腐れ縁である茂木愛生から、卒業論文のテーマとしてクィア研究を持ちかけられる。
すっごく面白かったです。恋に落ちたい華恋と片思いを続けたい愛生、二人の距離感がたまらなく好きでした。恋人(パートナー)の関係は、一方にしか恋愛感情がなくても成立するんだと考えさせられます。
LGBTなど、最近は目にする機会が増えました。しかし、そういった”名前”が付けられることで嫌悪感を覚える人もいれば、逆に安心感を得られる人もいる、と聞きます。
色々な性格の人がいるように、性に関しても色々な人がいて、相手のことを完璧に理解する…続きを読む - ★★★ Excellent!!!LでもGでもBでもTでもない、だけどヘテロでもない人達の物語
クィア小説あるいはLGBT小説というと、同性愛の物語や、トランスジェンダーが主人公の物語を思い浮かべる人が多いでしょうが、同性愛者やトランスジェンダーだけがクィアの全てではないのです。
この作品はLでもGでもBでもTでもない、だけどヘテロでもない、マイノリティなセクシャリティをもつ高校生の男女が主人公となります。主人公の一人であるの華恋は、他者に対して恋愛感情を抱かないアロマンティック。もう一人の主人公の愛生は、他者に対して恋愛感情を抱くけれど両想いになることを望まないリスロマンティック。
人は恋は必ずいつか恋をするもの。恋をした人間はその相手と両想いになりたいと望むもの。そんな常識に当ては…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この感動をすべての人と分かち合いたい
「恋に落ちたい私と片思いを続けたい俺」この引き込まれるようなタイトルは単なる釣りではありません。このタイトルに込められた作者の想いが全編に流れています。
一言一句見逃したくない。
言葉にするのが難しい感情や経験をサラッと表現してしまう作者の才能に驚嘆しつつ、物語にまるで当事者のように入り込んでしまいます。引き込まれます。自分ならこんな場面でどう思うだろうか、どんな言葉をかけただろうか。読みながらそんな事を考えてしまいます。
心を揺さぶられるこの作品。
この感動をすべての人と分かち合いたいです。
絶対に埋もれさせてはいけない名作中の名作です。