概要
同時に、謎の怨霊〝キヨイ〟によって、瀕死の百舌鳥は道眞に生かされる運命共同体となった。
生者も死者も等しく尊厳を踏みにじる邪教・娑輪馗廻(シャリンキエ)に、葬儀屋と刑事のコンビが戦いを挑む!
【主な登場人物】
●羽咋道眞(はくい・どうま)
生首着脱系眼鏡着物男子。葬儀屋の五代目。
●百舌鳥ヤマト(もず・-)
停職中の暴力ゴリラ刑事。スプリットタンで感情の「味」を視る。
●キヨイ
百舌鳥に取り憑く謎の怨霊。
●追切茅(おいきり・かや)
第二部から登場する別天の孫。明朗快活な女子中学生。
●別天現子(べってん・あきこ)
第二部から登場、眼帯をした和装の老婦人。心霊治療家。
●リリンコ
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- ★★★ Excellent!!!現は変わり、死者を食らうは救いとなるか
突然カルト教団に拉致監禁され、薬を嗅がされた挙句に洗脳されかけた男たち。
当たり前の日常が突如奪われ、フィクションの如き異常な世界に落とされた結果、壮絶なる《生》を歩むことになる。
自ら進んで神餌になった子煩悩な父親。
望まぬままに神餌に変じられた葬儀屋。
恐ろしい怨霊をその身に宿した公務員。
そこに加わるのは、娑輪馗廻と戦って来た老婆と娑輪馗廻によって父親を失った少女。
絶対的な存在である娑輪馗廻と戦うために、怪異を求めて各地を回り、怪異を引き起こす死者を食らう。
やがて解き明かされる数々の謎はとても残酷で酷いもの。
それでも彼らは娑輪馗廻を滅するために足を止めることはしない。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重厚なホラーアドベンチャーを体感せよ!
当作のメインジャンルはホラーであり、娑輪馗廻(シャリンキエ)という教団が生み出す怪異との戦いを描く物語です。
ある日、3人の青年は異常な文字が羅列され、不気味な呪詛が唱えられ続ける異界に迷い込む。その中で、幾度となく繰り返される『娑輪馗廻(シャリンキエ)』の言葉。ただただ不気味で、それでいて全てが異質。
襲いかかる脅威を前に彼らはどう立ち向かうのか。その中で明かされる真実は、運命として個々に絡みつくしがらみとなっていく。
私がこの作品について言えることはシンプルに「ふたつ、ふるまうはなむけの」まで読んでもらいたいという一言に尽きます。
娑輪馗廻の放つ呪詛とも言える言葉の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!邪教の被害者達が立ち向かう、心のざわつくバディーもの
とても知識豊かに語られる邪教の内容が、なによりもまず読者を襲います。
一見して邪教、その思想を知ってなお邪教。善意に寄りたつ大邪教。
これに挑むのは、被害者達。
巻き込まれただけとしか思えなったか者たちは、奇妙な因果に囚われて、まるで運命がそう望んだが如く戦いの道へと踏み入っていきます。
個人の尊厳も、大切な感情も、すべてが色濃く交ざって、ぐちゃぐちゃにとろけ落ちていき、それでも残るものはなんだったのかと、読み終えたときには感じずにはいれないでしょう。
描かれる人間ドラマは巧みの一言。
書き出されキャラクターの魅力は一見で脳裏に焼き付くほど。
非常に佳き、作品でした!
文句なし、星…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絢爛豪華で悍ましい邪教の本懐!
神道や仏教のみならず海外の信仰まで混ぜ込んだ複合体の信仰、毒々しい赤を想像させる絢爛豪華な香華と腐臭漂う調度、死も性も惜しみなく使うおぞましさ。
比喩のひとつひとつまで猟奇的なのにただの露悪で終わらないのは、作者様の確かな知識と緻密な雰囲気作りがあるから。
死者蘇生の邪教に囚われた三人の生々しい焦燥と次々に追い詰められる展開は息もつかせない。何より洗脳の手練手管に呑み込まれる様は暴走する車の助手席に括りつけられて、運転手に叫びは届かないまま衝突までの秒読みを見せられるようなカルトに立ち向かう絶望感がすごい。
アジアの邪教らしいシャリンキエと、昭和のバイオレンスもののような外連味、男ふたり…続きを読む