現は変わり、死者を食らうは救いとなるか

突然カルト教団に拉致監禁され、薬を嗅がされた挙句に洗脳されかけた男たち。

当たり前の日常が突如奪われ、フィクションの如き異常な世界に落とされた結果、壮絶なる《生》を歩むことになる。

自ら進んで神餌になった子煩悩な父親。
望まぬままに神餌に変じられた葬儀屋。
恐ろしい怨霊をその身に宿した公務員。

そこに加わるのは、娑輪馗廻と戦って来た老婆と娑輪馗廻によって父親を失った少女。

絶対的な存在である娑輪馗廻と戦うために、怪異を求めて各地を回り、怪異を引き起こす死者を食らう。

やがて解き明かされる数々の謎はとても残酷で酷いもの。
それでも彼らは娑輪馗廻を滅するために足を止めることはしない。

本当に辛いことが多い中、父親を失った少女の成長も物語の見どころの一つであります。

作中に何度も出て来る祝詞には初め読み難さもあると思います。
でも、読み終わる頃にはきっと苦も無く読めるようになっているはず。
とても中毒性のある物語です。
人を選ぶ物語でもあります。
でも、それでもあえて、最後まで読んでいただきたいと思います。

喰らうことで『救う』道を選んだ彼らの生き様を、是非、見届けていただけたらと思います。

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