大学生の集団自殺。
死んだ四人と、失敗したふたり。
自殺する原因などないはずの彼らを死に追いやったのはなんなのか、物語はそこを起点として始まり、生き残ったひとり、籠ノ目宵路の「現在」そして「過去」へと縦横無尽に枝葉を拡げ、その病根を暴き出して行く。
森に立つ神木、その偉容に気圧されつつも、子細に細部を確認すれば病葉の生い茂る枝、虫に食い荒らされた幹、腐った根を見つける……そんな物語である。
美しく、厳かではあっても、その存在は既に病んでいる。
その「病み」の在処を探るのが、本作の縦糸である。
本作はホラーであり、かつ、非常にキャラクター性の強い登場人物を多数配置した(主人公を含む)キャラクター小説でもある。
彼らはみな、スピンオフ作品が書かれたとすれば、そこで主役を張れるだけの「強度」を持っている。
彼らのキャラクターの強さを楽しむのが、本作の横糸だ。
この縦横で織られた織物が、面白くないはずはない。
絢爛な柄の裏地には、紅黒い血泥と妄執の髑髏の柄が浮かんでいる。
そして、病みを抱えながらも人の歩みは続いてゆく、本作は青春小説でもある。
なにはともあれ、最初の5エピソードを読み進めてみることをお勧めしたい。
たぶん、そこまで読めば続きが気になってしまうはず。
ところで、眼球舐めのシーン、突出して色っぽいんですが、これはやっぱりあれでそれだからでしょうかね……?(ネタバレ防止のための自主規制)
ストーリー・キャラ・恐怖、全てにおいてレベルの高いサスペンスホラーのご紹介です。
物語は集団自殺から生還した主人公が、同じ集団自殺で死んだ友達の葬式に出るところから。不謹慎ながらツカミはバッチリ。なぜ主人公達は集団自殺したのか、なぜ主人公は生き残ったのか。超絶気になる。そしてそこには大きな秘密と、恐怖が隠されていた――。
この魅力的なプロットから出てくるキャラクター達も濃くていい。暗い美人って色気ムンムンの主人公(男)はもちろん、副主人公も女傑って感じの快人物。更に褐色イケメンや性別不明で義手のガキが脇をがっちり固めて栄養素的にもバランスが良い。
そして、この攻守共に卒が無い本作をさらに一段クオリティを上げているのがフェティシズムです。読んで「うお~これかぁ~!」となって欲しいので詳細は伏せますが、ヒントはタグをご覧あれ。ホラーの流儀を踏襲してしっかり怖く、また登場人物たちのドラマも明瞭に理性的に語られる中、それでも作中に通底するこの迸るパトスこそが本作の画竜点睛、本作に血を巡らし生き生きと物語らせるパワーそのものなのです!
というわけで、読み出せば貴方も目が離せなくなること必至の本作、ぜひご一読ください!