概要
安芸は、周防(すおう)(山口県)の大名・大内義興の支配下にあった。が、その大内義興が天下人となるため、将軍・足利義稙(あしかが・よしたね)を奉じて上洛している間に、安芸武田家・武田元繁が反乱を起こす。
安芸武田家は安芸守護代の家柄であり、武田元繁は出雲(いずも)(島根県)の戦国大名・尼子経久と手を結び、安芸を手中に収めようとする。
怒り心頭の大内義興は、京から、安芸の国人(地域領主)の盟主である毛利興元に対し、武田征伐を命じた。
興元は善戦し、武田方である有田城を攻略するが、しかしその時――興元は急死してしまう。
武田元繁はこの機を逃がさず、五千の大軍を集め、毛利家に対して攻勢に出る。
毛利興元の子・幸松丸はわず
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- ★★★ Excellent!!!謀神。現代まで続く『長州閥』の祖。
江戸時代。元旦、夜明け前。
筆頭家老が単身密やかに殿様の前に現れて。
「討幕の準備は万端、整っておりますが?」と問えば。
殿様、「いや。未だ機にあらず」と答える。
毛利家には、そんな正月の秘儀があったと伝わる。
そして、幕末。尊皇攘夷から討幕へと、終始中心的役割を担ったのが毛利長州藩である。
時代は移り現代に於いても、山口(長州)出身者が数多く首相の座に就いていることは自明だ。
戦国末期から現代に至るまで。本邦に絶大な影響を与え続ける毛利長州。その産みの親が『毛利元就』、その人である。
本作は、そんな毛利元就が『多治比元就』と名乗っていた、若かりし頃の物語。
是非ご一読を。オススメで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦国時代。やがて謀神と呼ばれる少年は、斯くして戦乱の世に羽ばたいた。
戦国時代、中国地方に覇を唱えた英雄、毛利元就。
歴史が苦手でも作者様の巧みな筆致で入り込み易く、初々しい恋も描かれ、歴史が初見でも存分にお楽しみいただけます。
血生臭い西国の戦乱を生き抜き力を得た謀の神。
その厳しい青春時代を描ききった本作ですが、その中心にある少年・元就はその肩書から想像されるであろう人柄からかけ離れ、控えめで思い遣りにあふれる人格者。
ともすれば後ろ向きになりがちな彼を果敢に攻めるのは、勝気にして純粋な戦国美少女、妙弓の異名をもつ姫武者でもある雪。
元就が深謀は侵食する敵を絡め取り、果敢に攻めて撃ち滅ぼす。その傍らにあって馬を駆り、弓を放つ雪の姿は非常に綺麗なペアであ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!三本の矢で御馴染みの
臨終の間際、毛利元就は「一本の矢は簡単に折れてしまうが、三本も束ねれば容易には折れぬ。力を合わせることが肝要だ」と三人の息子達に言い残したと伝わっています。この話が史実か創作かという議論はさておき、本作は中国地方の覇者と呼ばれた毛利元就が大成する以前、その黎明期を描いた歴史小説です。ただ読むにあたり、難しい予備知識はいりません。時代は戦国の世、多治比家=毛利家の分家=元就は毛利家の血筋、という程度が把握できれば、あとは作中の説明と空気が教えてくれます。またコミカルに描かれる仲良し吉川家や一癖も二癖もある武将達が随所に登場するなど、ヒューマンドラマとしての魅力にも溢れてます。元就を中心に描かれ…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!稀代の謀将・元就の初陣。その片鱗が窺える壮麗な戦記にして青春物語。
知力・体力を尽くした謀略・勇戦の緻密な描写と、心浮き立つ恋に友情、この二つを高いレベルで並び立たせる物語にはなかなか出会えないもの。その稀有な両立を実現した珠玉の物語です。
後に中国を制覇する元就の初陣は、幾重にも苦難に囲まれたものでした。
並みの戦い方では勝ち筋は見えないその逆境を、次から次へと繰り出される謀略と、自ら死中に飛び込む勇気で切り開いていく元就。その様子が説得力をもって語られ、戦闘の描写は目に浮かぶように鮮やかです。
手に汗握る戦いと謀略の合間に描かれる、姫武者との反りの合った掛け合いが楽しいのも出色の戦記物語、ぜひお楽しみください。 - ★★★ Excellent!!!読み応え抜群の戦国物語でラブコメ要素も豊富な四倍おいしい歴史小説
一五〇〇年から一五五〇年くらいの中国地方は、大河ドラマとして扱われる優先度が低い時期・地域かもしれません。この作品では、そこに生きる一人の武者が巨大な苦難を乗り越え、中国地方の覇王へと突き進む戦いを描いてあります。
信長・秀吉・家康が登場しなくても、これほど面白い戦国時代小説が書けるのです。それはもちろん作者さんの力量があるから実現できたこと。これには脱帽するしかありません。
若い頃の斎藤道三も登場します。信長の奥さんのお父さんになる人です。
鉄砲の広まっていない頃ですから、合戦シーンでは刀・槍・弓が大活躍します。思わず手に力が入るような、これぞ武士の戦いと云えます。
中でも「鬼…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一文字三星紋は天下一品の品位。元就を調べ尽くした作者さまの逸品とも☆
明治期の長州藩でも名を轟かしめる「毛利家」の祖、毛利元就。一代のうちに一国人領主から芸備防長雲石の六ケ国を支配する太守へとのし上がった戦国大名だが、その名が知れ渡るのは彼も歳を重ねた頃のこと。そんな元就の若かりし時代を、初々しく躍動感に溢れた描写で綴ったのがコチラの作品。
少数(元就軍)で大軍(武田氏)を屠るシーンは圧巻の一言。後年、謀神と崇められた片鱗を見せつけると共に、若さ故の初々しさと大胆な行動にも胸が熱くなる。とにもかくにも、読者に向けて「戦の熱量」を出し惜しみせずに浴びせてくれるのが心地良い。
妻(妙玖)との馴れ初めと漫才のようなやり取りにも注目!(←ココ大事)
タイトルの通…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小学校の同級で
毛利くんという男の子がいまして。
特に仲が良かった訳でもなく、今となっては眼鏡をかけていた事と少しナヨっとした印象だった事しか思い出せません。あ、運動は苦手だったかな。
その毛利くん、名前も思い出せません。何故なら、皆から「モトナリ」と呼ばれていたからです。言わずと知れた「毛利元就」ですね。本人も普通に受け入れていたような。
そんな思い出を持つ私が、作者様の『西の桶狭間〜』を拝読したのは必然だったと言っていいでしょう(ここまで前振り)。
さて本作ですが、作者である四谷軒様の他作品同様に、歴史上の人物の一時期にフォーカスして、資料と四谷軒様の解釈を交えた興味深い読み物となっています。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!毛利元就、ついに覚醒の時――
安芸広島に動乱が起きる。安芸の項羽とも呼ばれる(自称する)武田元繁が尼子経久と手を結び、大名・大内義興の不在を狙って攻め入ったのだ。怒りに震える大内氏の命を受け、毛利興元が領土奪回に名乗りを上げる。だが、興元は戦死、後継ぎは幼年、毛利家は絶体絶命の危機に陥った……。
奇跡の逆転劇でスポットが当たるのは、我らが毛利元就である。しかし、彼は完全無欠の英傑でもなければ、さらに正統な後継者ですらない。その立場にあって、いかに多勢に無勢な状況を撥ね退け、毛利家に勝利をもたらしたのか?
前作「こじき若殿」で自立心と行動力を得た主人公がついに真の試練に立ち向かう。すでに知られているはずの歴史上の対決が…続きを読む