概要
ある日、踊りの最中に島で一番踊りが上手い女を怪我させてしまい、とうとう踊りに加わる事をやめさせられてしまう。
フラミィは絶望し、若い身体を欲しがる踊りの女神ルグ・ルグに身体をあげてしまおうとするが、左足の親指の骨が無かったので「踊れない身体なんていらないよ!」と、断られてしまう。
左足の親指の骨を取り戻し、重心の取れる身体が欲しいフラミィと、若い身体が欲しい老婆の女神の『親指の骨』探しが始まった。
島を守る老婆の女神とフラミィの、少し不思議な愛と友情の物語です。
淡いラブストーリーもちょっとあります。
※少しだけ昔の現実世界にある、外からは見えないけれど存在する島が舞台です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!生命は、豊かな和音を奏でる
何処とも定かにされずただ「南」と示される海。そこに、神々が施した大気と光の結界で守られた、小さな美しい島があって――
この私たちにはただただ他所事の楽園としか思えない島にも、人が生きることの、人が社会の中で生きていく上での、どうにも苦しくやるせない軋轢と悲しみが普遍のものとして在る。
踊り子の島に生まれながら他の人のように巧みに踊れない娘フラミィは、体を半神のルグ・ルグ婆さんに譲ってもいいと思うほどに傷つき苦しんで、それでもやはり踊る事への希望を求め、そのためのカギを探して島中を――小さな彼女にとっては全世界に等しい空間を経巡って歩く。
作者、梨鳥ふるりさんはまごうことなくある…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女の成長と人々の心が、魅力的な世界で描かれた素晴らしいファンタジー
泡に守られるようにぷかりと海に浮かぶ美しい島。
老婆の姿の踊りの女神、ルグルグによって守られるこの島は、踊りを愛し、踊りを神に捧げる習慣があります。
けれど島の踊り子フラミィは、他の踊り子のように上手く踊ることができず、とうとうある事件により、踊ることを禁止されてしまいます。
悲嘆にくれる彼女の前にルグルグ婆さんが現れ、老婆の体ではなくフラミィの若い体が欲しいと言います。
けれど、ルグルグ婆さんはフラミィの足の親指の骨が欠けていることを発見し、そのために上手く踊れなかったのだと分かります。
フラミィはルグルグ婆さんに言われるまま骨探しを始めますが、そんな折、外の世界から一人の若者が飛行機に乗…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女の成長に涙する、地に足の着いたファンタジー
好きで好きでどうしても好きでやりたいこと。それを奪われたら魂が死ぬほどの、好きなこと。
主人公フラミィにとって、それは踊ることだった。
けれど彼女は足の指の骨が欠けていてうまく踊れない。
ならば生まれてくるときに貰いそこねた骨を探そう。物語はこうして動く。
舞台は地図にない南の島。
神様や不思議な生物が登場するファンタジーでありつつ、他者との関わり方を描く人間ドラマでもある。
嬉しいとか悲しいとかいう単純な言葉だけでは説明しきれない複雑な感情を経験し、重大な選択を迫られるフラミィ。
自分にとって何が最も大切なのか?
その問いは主人公と対立する少女にも投げかけられる。
島の外からやって…続きを読む