作者様によるタイトルとキャッチコピーを越えるレビューを書ける気がしないのですが、もっとたくさんの人に捧腹絶倒して欲しいので書きます。最初に宣言しますが、めちゃくちゃ面白いですよ!!!
人魚姫をモチーフにした作品は、多くの場合、種族を越えた悲恋や、人魚姫の報われない思いにフォーカスを当てるのではないかというイメージがあります。が、本作については物語の中心が「下半身」になっているというインパクトに目も心も奪われます。無垢で可憐で、初恋にときめく人魚姫の下半身が人間の男って……いったい何が起きるのか、気になるでしょう? 人間の読者には大問題がもう見えているのですが、人魚姫は純心だからまだ分かっていないんです。
恋人の浮気に怒り狂う魔女に、浮気癖が(本当に)酷いその恋人。ほかの登場人物が人間味と欲望に溢れているからこそ、人魚姫の純真無垢さと恋の煌めきがより映えて、ギャップとすれ違いが笑いに繋がっています。
そう、下ネタから始まる作品なのに、人魚姫と人間の少年の恋の描写はとても美しく愛らしく清らかで、海も波も祝福する筆致できゅんとしてしまいます。……それがまた、「だ、大丈夫か……!?」というドキドキとハラハラと笑いに繋がるのだから本当に面白い。
とにかく、一文一文がユーモアと可愛さとツッコミどころに溢れています。繰り返し読んでは笑顔になること請け合いですので、是非とも読んでみてください!