魔人の花婿〜婿入りしたのは魔界の支配者の一族でした。可愛い嫁の為に奔走します

高野ヒロ

第1話 出会いと求婚

「貴方が好きです!私と結婚してください!」


起眞市嶋崎区にある私立澤良木高等学校の校門前で俺は美少女に求婚された。

浮世離れした美貌の少女である。頬を赤く染め、目は潤んでいた。


陽光を反射するウェーブ掛かった艷やかな銀髪。

宝石を思わせる翡翠の瞳。

雪のような肌はきめ細かくシミ一つ無い。

タレ目がちの瞳。形の整った眉。筋の通った鼻。薄桃色の唇。

身長は170cm半ばといった所。モデルのようにメリハリがあるスタイルの持ち主。


思考停止1秒。彼女の目を真っ直ぐに見つめ応える。


「喜んで」


余りにチョロい俺の名は汐見湊。15歳。澤良木高校に入学したばかりのピカピカの一年生だ。

身長180cm。短めの黒髪に親譲りのツリ目がちの青い瞳。趣味はバスケと絵を描くこと。将来の夢は獣医。幸せな家庭を築くのが目標のいたって普通の男子学生だ。


コイツチョロ過ぎるって?仕方ないだろ。いきなりどストライクな少女が告白してきたんだから。


「本当!?嬉しい!」


少女が花のような笑顔を見せる。眩しい。ただ、問題がある。俺は彼女の名前すら知らない事だ。まずは自己紹介からだな。


「俺は汐見湊と言います。お名前を教えて貰っていいですか?」


「あ、失礼しました。つい、求婚を先にしてしまいましたね」


少女は照れた様に顔を赤く染めている。美少女はどんな表情でも美少女だな。


「私はセシリア・ローズ・ベルガンド。魔人族です。セシリーって呼んでください」


「ふぁ?」


今なんて言った?魔人族って聞こえたんだが。聞き間違いか?


「あ、その顔は信じてませんね?」


セシリーは少し怒ったように頬を膨らませる。信じるというかまず何それなんだが。


「あ、うん。ごめん」


「では証拠を見せてあげます!」


「証拠?」


セシリーは片手を前に突き出して何やら唱えている。


「『咲き乱れて』」


瞬間、花が舞い散る。上を見上げると満開の桜があった。入学の時既に散っていたはずの桜の木だった。


「花が咲いた」


「咲かせちゃいました」


テヘペロっとイタズラっ子のように笑うセシリーが可愛過ぎるのだがそれよりも


「…魔法?」


「はい魔法ですよ」


この世界魔法なんてあるんだ。初めて見た。


「凄い。魔法なんて初めて見た」


「人間界では使える者は少ないみたいですから」


まじか。魔族というのは嘘でも冗談でもないらしい。


驚く俺を他所にセシリーは満面の笑みで告げる。


「不束者ですが、末永くよろしくお願いしますね。旦那様」

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