第30話 嫁と北条姉弟
「貴方がミナくんを拘束した祓魔師なんだ…へぇ…」
せーちゃんが笑う。とても圧がある笑顔で。
何故こんな事になったのか。今日一日を思い出してみよう。
せーちゃんが事件について手伝うと言う事で一緒に登校する事になった。流石に教室までは行けないが、せーちゃんはヨル先生の時空間魔法で近くに控える形となる。
「ふんふんふ〜ん♪ミナくんと一緒♪」
せーちゃんは上機嫌に鼻歌を歌っている。俺も嬉しい。嬉しいんだが
「な、何かめちゃくちゃ見られてないかな」
「せーちゃんが美人だからな。俺も見惚れてる」
「も、もうミナくん!外では恥ずかしいよ…」
せーちゃんは恥ずかしそうに顔を赤くしている。俺はせーちゃんを変な目で見ている男共に睨みを利かせている。油断ならないからな。
「(ねぇ、ねぇ見て!あのカップル美男美女だよ!)」
「(うわぁ…絵になるわ〜)」
「(ね、マジでお似合いのカップルじゃんね!)」
「(チクショウ!糞リア充が!イチャイチャしやがって…!)」
「(末永く爆発しろや!美男美女カップルが…!)」
色々と囁き声が聞こえるが、実害がないならスルー。
「あ、もう学校に着いちゃった…。ミナくんともう少しお話したかったけど。また昼休みだね」
「とはいえ、せーちゃんはヨル先生と別空間で近くにいるんだろ?」
「でもミナくんとお話したいの!」
「じゃあ昼休みに沢山話そう」
「うん!また後でね!」
せーちゃんとヨル先生は別空間に移動した。さて、昼休みが楽しみだな。あ、でも藤代とユズにどう説明しようかな。まぁ、ずっと一緒に飯を食っている訳じゃないしまぁ、いいか。
◆◇◆
「湊くん今ちょっと良いかしら」
デジャヴだろうか。昨日見た光景のような。
「六花と悠馬?今日はどうしたんだ?」
「昨日の続きを話したいと思ってね。今良いかしら」
有無を言わさぬ口調の六花。肩を竦めている悠馬。これも昨日見たぞ。ちなみに藤代とユズは購買に昼ご飯を買いに行っているため今は居ない。
「分かったよ。また文芸部の部室か?」
「そうね。行きましょう」
という訳で文芸部の部室に来た俺達だが、そこでせーちゃんが
「貴方がミナくんを拘束した祓魔師なんだ…へぇ…」
ヨル先生の時空間魔法で現れた。北条姉弟は目を丸くして驚いている。それはそうだ。イキナリ何も無い場所から現れたのだから。
「貴方は…」
「そう言えば名乗ってなかったね。私はセシリア・ローズ・ベルガンド。君達にはミナくんがお世話になったみたいだね…うふ、うふふ…」
「セシリア・ローズ・ベルガンド…。もしかして、ベルガンド一族…?湊くん…?彼女とは、一体…」
「俺の主で妻だけど」
「…!そんな、そんなこと…」
「六花?」
六花がなんだか可怪しい。顔面蒼白になり、目が泳いでいる。どうしたのだろうか。
「…マジか〜。俺達やっちまったな…」
悠馬も、額を抑え、苦みが走った顔をしている。
「せーちゃんはこの二人知り合い?」
「ううん。知らない」
せーちゃんは首を横に振って否定する。ではなんだろう。
「六花と悠馬はせーちゃんの事を知っているのか?」
「…貴方の妻と言うよりはベルガンド一族の事を知っているわ」
「俺達祓魔師では有名な一族だからな」
二人は答えてくれるが、どう言う事だろうか。首を傾げる俺を他所に悠馬が
「姉ちゃんは悪くねぇ。罰なら俺が受ける。だから姉ちゃんだけは助けてくれ!」
と頭を下げたかと思いきや六花が
「いいえ。この件は全部私が悪いの。罰するなら私だけにして。だからゆーくんだけは助けて、お願い!」
と懇願してきた。何が何やらさっぱりだ。
「互いが互いを想うのは良いね。私とミナくんもなれるかな」
「なれるさ、きっと」
話の流れが分からないがそれに関しては肯定する。
「まぁ、とりあえず顔を上げて。貴方達に聞きたいことがあるんだ」
「貴方達が今抱えている『接ぎ木』の魔人だったよね?それについて教えて欲しいの。私が知っている魔人の可能性があるから」
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