第20話 再会と…
「ミナさま〜。そろそろ一度かえりましょ〜」
「え、もうですか?まだ二年程ですが」
「がんばりすぎると〜あぶないですから〜。それにセシリアさまから二年ぐらいで切り上げて帰って来てって言われてます〜」
「そうなんですね。分かりました」
ようやく『古龍』を素手で倒せるようになったのでまだ名残惜しいが、せーちゃんの頼みなら仕方ない。帰るとしよう。
「それでは〜帰りますよ〜忘れ物は無いですか〜?」
「あ、待ってください。先にお風呂に入らせてください。流石に汗臭いまま、せーちゃんに会うのはちょっと…」
「ミナさまは『せんさい』なんですね〜。分かりました〜。お待ちしておりますのでどうぞ〜ゆっくりと入って来てください〜」
「すみません。入ってきます」
そうして風呂に入りに行く。せーちゃんと久しぶりに会うのは緊張している。向こうでは時間は変わっていないとはいえ、こちらは二年も会えていない。何を話そう。どんな風に接しよう。考えは深まるばかりだ。その日、俺はいつもより長めに風呂に入った。
◆◇◆
「では、かえりましょ〜」
「お願いします」
「えいや〜」
ヨル先生の掛け声と共に視界が光に包まれる。そして
「ミナくん。おかえりなさい」
「せーちゃん…」
目の前にせーちゃんが立っていた。満面の笑みを浮かべていた。
「ミナくん訓練はどうだった?上手く…いったみたいだね。魔力が今までとは比べ物にならないぐらい大きくなっているのを感じるよ。凄く頑張ったんだね」
せーちゃんが俺の頭を撫でて労ってくれる。それだけで今までの訓練が報われた気がした。膝から崩れ落ちそうな俺をせーちゃんが抱きしめてくれていた。
…あぁ、ヤバい泣きそうだ。
せーちゃんの姿を見ただけで心に知らず知らず募っていた寂しさがスッと消えて行くのを感じる。代わりに胸の中を温かい何かが埋めていく。
「…せーちゃん、ただいま」
頬を濡らす涙はそのままに、せーちゃんを抱きしめ返す。あぁ、帰ってきたんだな。せーちゃんの元に。そんな俺を優しく抱きしめ、撫でてくれるせーちゃん。しばらくは抱きしめ合っていた。
◆◇◆
「え〜!?龍と戦ったの!?しかも魔法を制限して!?」
それから俺はせーちゃんに訓練の事を話した。せーちゃんの表情はコロコロ変わり、笑ったり、怒ったり、悲しんだり、喜んだりと忙しい。久しぶりのせーちゃんとの会話に花を咲かせていると、そろそろ午後11時になろうとしている。そろそろ寝ようかと思い、せーちゃんにベッドを使っていいと言うとせーちゃんは
「…ねぇ、ミナくん。私まだ寝たくない。ミナくんは、どう…?」
「せーちゃん…?」
せーちゃんは潤んだ瞳で上目遣いにこちらを窺う。顔は真っ赤で恥ずかしそうにしている。それに先程よりも距離が近い。というよりも密着している。これは、まさか…
「ねぇ、ミナくん。ミナくんが良ければなんだけど…」
「私の初めて、貰ってください…」
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