第58話 嫁とイチャイチャ(朝チュン)

 チュンチュン


 小鳥のさえずりで目が覚める。いつもの癖で早めに目が覚めてしまった。昨日はあんなにせーちゃんとナカヨシしたというのに。


 ふと横を見ると産まれたままの姿のせーちゃんが静かな寝息を立てていた。昨日の記憶が蘇ってくる。


 ベッドに微かな血がついている。せーちゃんのハジメテの証である。最初は少し痛そうにしていたが、徐々に積極的になっていき、やがて互いに枷が外れた獣のような交わりへと変わった。せーちゃんは中々情熱的だった。普段とのギャップで更に興奮した。結果、用意していた15個のゴムが一晩で無くなってしまった。また用意しなければ。


 しかし、せーちゃんの寝顔は美しい。まる神が作った芸術品のようだ。絹糸のような流れる銀髪にシミ一つ見当たらないきめ細かな白い肌。豊かな双丘は重力を無視したかのようにハリがある。桜色の突起部分は花びらのようだ。


「んぅ…ん、おはよう…ミナくん」


「おはようせーちゃん」


 どうやらせーちゃんが目覚めたようだ。ただ、眠たそうにしている。


「ミナくん起きるの早いね…」


「いつもの時間に起きちゃってさ」


「そうなんだ…ふわぁ…」


「眠いなら寝てていいよ」


「やだ。ミナくんとイチャイチャするんだもん。起きる」


 昨日も凄くイチャイチャしたと思うのだが、せーちゃんは結構甘えん坊なのかも知れない。それが俺だけに向けられていると考えると優越感が湧き上がる。ニヤニヤが止まらない。


「ちょうど俺も二度寝しようと思っててさ。一緒に寝ようか」


「ん〜わかった。ミナくん」


 せーちゃんは腕を広げる。ハグの合図だ。いつもよりも幼さを感じるせーちゃんに頬が緩む。そっと抱きしめるとせーちゃんはスリスリと頬ずりをしてきた。小動物みたいで可愛い。


「んにゅー」


「可愛い」


「えへへぇ、ミナくん好き」


「俺もせーちゃんが好きだよ」


 2人でベッドに寝転ぶ。穏やかな朝に恋人と微睡む。これも悪くないだろう。すぐに眠気が訪れた。カーテンに差し込む朝の柔らかい光に照らされながら眠りについたのだった。


◆◇◆

 再び目が覚めると、せーちゃんはベッドから居なくなっていた。何処に行ったのだろうと辺りを見渡すと、良い香りご漂ってきた。パンが焼ける匂い、ベーコンか何かが焼ける匂い、コーヒーの香り。そっか。朝ごはんを作ってくれているんだ。


「ふんふんふ〜ん♪」


 そっとキッチンを見る。予想通りせーちゃんがエプロンを付けてご飯を作っている。鼻歌を歌いながらとてもご機嫌だ。


「おはようせーちゃん」


「おはよ、ミナくん!朝ごはんもうちょっとで出来るから待っててね!」


「今日も美味しそうだね」


「えへへ、簡単なものだけどね」


「そんな事ないよ。ありがとう」


「どういたしまして。それじゃあご飯も出来たし食べようよ」


「うん。運ぶよ」


「ありがとう!」


 今日の朝食はトースト、ベーコン、目玉焼き、サラダ、コーヒーというメニューだ。シンプルながらとても美味しそうだ。


「それじゃあミナくん」


「ああ」


「「いただきます」」


 俺とせーちゃんはゆったりとした朝の時間を過ごしたのだった。朝ごはんは凄く美味しかった。

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魔人の花婿〜婿入りしたのは魔界の支配者の一族でした。可愛い嫁の為に奔走します 高野ヒロ @takahiro528

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