第37話 秘密と再会
「リグル、悠馬以外の人間達はどうしたんだ?」
「…材料にした」
予測はしていたとはいえ、やはりそうか。では悠馬は運が良かったんだろうか。それとも、何か理由があるのか。それは分からない。だが、六花との約束を果たせたのは確かだ。
「…その祓魔師、気持ち悪い…」
「…?どう言う事だ?」
「ただの人間じゃない…混ざってる…」
リグルが悠馬を見つめる。眉根を寄せて、嫌悪感を滲ませながら。悠馬を見るが、肩を竦めるだけで何も言わない。何が混ざっているのだろうか。
「うーん…なんだろうね…ねぇ、貴方、何かに触った?」
「…さぁ、どうだろな」
「ソレ取り除かないと危ないよ?壊そうか?」
「ご心配無用。コイツとは共存関係でね」
「共存かぁ…うーん、本人がそう言うならそれでいいんだけど…大丈夫なのかなぁ…」
せーちゃんが何か気付いたようで悠馬をジッと見る。困惑と心配が見て取れた。
「せーちゃん?悠馬がどうしたんだ?」
「うん。彼の体内に何かヤバいのがあるんだ。それが何かは分からないけど、多分彼の身体を蝕んでいる」
「え、ヤバいもの?」
「うーん、何かしらの呪い…?」
「え!?」
慌てて身体強化を使い、悠馬の身体を見る。観察すると、腹部と右腕が通常の魔力と異なる事に気付く。禍々しいというか、本能的に触れてはいけないような感覚。これは一体…。とそこで視界が暗くなる。誰かの手で目隠しされた事に気づく。
「せーちゃん?」
「あんまり見ちゃダメだよ。危ないよ」
「…分かった」
「よろしい。ミナくんは素直だね」
身体強化を解くとせーちゃんの目隠しが解除され視界が戻る。
「悠馬、本当に大丈夫なのか?」
「ああ。さっきも言ったけど共存関係なんだ。危険なのは分かっている。でも祓魔師として戦うには、姉ちゃんを守るにはこれが必要なんだ。自分勝手でごめんな」
「…それが何なのかは分からないけど悠馬が六花を大切にしているのは分かったよ。必要な物、なんだな」
「ああ。そんな感じだ」
「…分かった。何かあればすぐに言えよ。出来る限り力になるから」
「ミナくんが手伝うなら私も手伝うよ」
「ありがとうな。湊。セシリアさん」
「気にするな」
「同じく」
「お〜い、汐見くん!セシリアさん!」
六花の声が聞こえたので振り返ると、少し離れた場所にいた。どうやら山を駆け上がって来たようで服が泥だらけ、小さなかすり傷があちらこちらにあった。
「姉ちゃん?」
「ゆー、くん…?ゆーくんなの!?ゆーくん大丈夫!?ゆーくんが食べられて私、私…うぅ…グス…うぅ…うわああああぁぁぁん!!」
六花は悠馬に抱き着き、大声を上げて泣いている。よほど心配だったんだろう。悠馬は六花の髪をそっと撫でている。
「心配かけてごめんな。湊とセシリアさんのお陰で無事だよ」
「ありがとう…!ゆーくんを助けてくれて、本当にありがとう…!」
「無事で何よりだ」
「うん。良かった」
問題や気になる事も沢山あるが、無事に再会出来た事は喜ばしい事だ。
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