第18話 魔法禁止とドラゴンスレイヤー①
「ふむふむ〜。ミナさまは〜水と闇の適性が強すぎるのか火魔法がちょっと苦手みたいです〜」
「あ、やっぱりそうなんですね。どうも火魔法は上手く使えないというか」
火魔法が使えない訳では無いが、水や闇に比べて魔力の消費量が多いし、威力が出ない。苦手なのは気付いていた。
「戦いでは水と闇がメインですね〜。あくまでも火は補助です〜長所をどんどん伸ばしていきましょ〜」
「分かりました。今日はどんな訓練ですか?」
「今日は〜魔法禁止です〜」
「え?」
「敵は〜下級の龍にしましょ〜か。下級とはいえ龍は上位の魔獣ですよ〜お気をつけて〜」
「え?」
「素手で倒しましょ〜。あ、身体強化はオッケーですよ〜」
「え?」
いきなり難易度が跳ね上がったな。
「じゅんびはいいですか〜行きますよ〜」
「え、ちょ」
「えいや〜」
ヨル先生の掛け声と共に龍が出現した。全長約10m程で赤色の硬質な鱗で覆われた身体。爬虫類を思わせる縦長の虹彩の瞳。背中に巨大な翼を携えており、尾まで棘が生えている。
「…やるしかないか」
身体強化を使い、龍と対峙する。龍はゆっくりとこちらに近づく。今までの魔獣とは違い、強者だとはっきり分かる。お互いの距離は約五m。
「先手必勝!ハッ!」
跳躍。龍に蹴りを放つ。だが鱗で守られた身体は傷一つ付かない。鬱陶しそうに尾を振り回し、潰そうとしてくる。咄嗟に後方に回避。鼻先を尾が掠める。風圧だけで吹き飛びそうだ。
「グオオ!」
「食らうか!」
龍の攻撃を回避しつつ、弱点を探る。鱗に守られている箇所は難しい。ならば鱗が無い箇所なら
「フッ!」
「グルア!」
目を狙い跳躍。振り回す尾を足場にして接近。回し蹴りを放つ。が
「チッ!」
「グラァ!」
目に当たる前に前脚に防がれ、吹き飛ばされる。前脚を蹴って衝撃を和らげる。空中で体勢を整え着地。膠着状態へ。
「(決め手に欠けるな。どうした物か)」
鱗は硬すぎる。目を狙うしか無いが隙が無い。攻撃の手が止まった俺を見かねてヨル先生がアドバイスをくれた。
「ミナさま〜身体強化は使っていますか〜。目をちょっと強化すると〜きっと見えると思いますよ〜」
「見える?」
どう言う事だろう。何が見えるのか。とりあえずヨル先生のアドバイス通り目を強化してみようか。すると
「(これは…?アイツの動きが予測出来る。いや、遅く見えているんだ)」
先ほどに比べ、龍の動きが遅く感じる。動きが予測出来る。そう言う事か。動きが分かるならこっちの物だ。
「ハッ!」
「グゥ!?」
叩きつけて来る尾を別の角度に受け流し、前脚の攻撃も捌く。慣れてくると動きは単調だ。敢えて隙を作る。振り降ろす前脚を踏み付け、跳躍。狙うは目。正拳突きを片目に叩き込む。龍が初めて苦悶の声を上げた。よろめいた所で龍の顔面を蹴り飛ばす。
「うらぁ!」
「グアア!」
腕と足に力を入れて尾を掴み、背負投げの要領で地面に叩き付ける。うめき声を上げている。ダメージは与えられている。
龍がこちらを睨み付け、大きく息を吸い込む。これは、マズい!
次の瞬間
「ガアアアアアア!!!」
龍の口から極太の光線が吐き出された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます