第25話 上位悪魔と祓魔師
文芸部の部室に入ると六人が座れる机と椅子が並べてられている。棚を見ると、ファイルが所狭しと並んでいる。よく見ると文芸部所属らしき人物名が書かれており、部員の活動履歴が分かる。
「そこに座って」
北条六花に椅子に座るように促される。反対する理由もないため素直に従う。
「それで、話とは何だ?」
単刀直入に尋ねる。こいつらが俺を監視していた理由と関係あるのだろうか。
「そうね。話しましょう。でもその前に」
北条六花の纏う雰囲気が変わる。空気の重さが増したような感覚。そして彼女が魔力を纏う。
「(魔力…。魔族なのか?それとも、魔術師か?)」
せーちゃん曰く今の人間は魔力を扱える者は少ないらしい。九割以上が魔力の存在を知らずに生涯を終える。だが、裏を返せば一割は魔力を扱う事が出来る者がいるという事だ。その者達を魔術師と呼ぶ。正確な違いが分からないが魔族が扱うのは魔法。人間が扱うのは魔術と呼ばれる。同じ魔力でも使い方が違うんだそうだ。
「拘束させて貰うわ。『風鎖』」
俺の身体を見えない力が縛りつける。感じる力からおそらく風の魔法。小さな竜巻が身体に巻き付いているような感覚だ。
「ふむ。魔法、いや魔術か。君は魔術師なのか?」
「正解よ。正確には祓魔師だけどね。それよりも冷静ね。これでも鬼種を拘束する力があるんだけど」
「鬼種とは数え切れないほど戦ったんだ」
「…やはり危険ね。ここで祓うべきかしら」
北条姉が何やら物騒な事を呟いている。しかし祓魔師か。祓魔師は魔術師の一種で、主に魔獣を倒し人々を陰から守る為に魔術を使う者の事だ。
「俺は魔獣じゃないぞ。相手を間違えているんじゃないか?」
「貴方が魔獣でないことなんて知っているわ。危険かどうかまだ判断出来ないから拘束しているのよ」
「随分と手荒な事だな。そっちにいる君の弟も祓魔師か?」
近くに控えている北条悠馬を見やる。姉弟揃って祓魔師なんだろうか。
「ゆーくn、いや悠馬は三等祓魔師よ。ちなみに私は一等祓魔師。私とペアを組んで任務に当たっているわ」
ゆーくん?今ゆーくんて言おうとしなかったか?呼び名が家と外では違うタイプなんだろうか。そんなどうでもいい事を考えつつ、この拘束を抜け出すの方法を考える。拘束を壊すのは簡単だが同時に部室が壊れてしまう。
「さて、貴方は
「そうだけど、それが何だ?」
「貴方の主である魔人の名を言いなさい。もしも、私達が探している魔人だとしたら」
「だとしたら?」
「貴方に恨みはないけど祓わせてもらうわ。貴方も貴方の主も」
北条六花は氷のように冷たく言い放った。
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