第24話 監視と北条姉弟
「(さて、どうしようかな)」
少し困った。どう反応すればいいのか分からない。何の話かと言うと
「……」(ジ〜〜)
「……」(ジ〜〜)
何故か監視されていた。おそらく二人。授業中も休憩時間も。そして昼休みもである。
「あれ?ミナ今日お弁当なんだ」
「アンタのお弁当前見た時は漢らしいというか凄いシンプルだったけど今日もあんな感じ?」
「いや、今日はせーちゃんが作ってくれたんだ」
「愛妻弁当だ」
「愛妻弁当ね」
「よせよ、照れるぜ」
せーちゃんが作ってくれた弁当の蓋を開けると
「「わあ…!」」
ユズと藤代が驚嘆の声を上げる。弁当の中身がとても美味しそうだったからだ。ご飯に梅干し、唐揚げ、コロッケ、アスパラベーコン巻き、ミニトマト、ポテトサラダ、デザートにうさぎの形にカットされたリンゴと彩り豊か。ありがとうせーちゃん。凄く美味そうだ。
「いただきます」
何から食べようか。好きな物は後で食べたい派だからミニトマトやポテトサラダから食べようか。それとも先に唐揚げを一つ食べてからにしようか。迷うなぁ。そんな事を考えていると近付いてくる二人の生徒。
「汐見くん今ちょっと良いかしら」
「今いいか?少し俺達に付き合ってくれよ」
まさか向こうから接触してくるとは。手間が省けるがタイミングが悪い。今から飯の時間だぞ。
「何か用か。北条六花さんと北条悠馬さん。今から昼ご飯を食べるから後にしてくれないか?後なら時間を取るが」
俺を監視していたのは北条六花とその弟である北条悠馬の二人。北条悠馬は一言で言えば不良漫画にいそうなイケメンである。180半ばの身長にスポーツか何かしているのか筋肉質な身体。色素の薄い金髪を後ろで結った髪型。琥珀色のツリ目の瞳。容姿は整っているため、目つきがより鋭く感じる。
「大事な話なの」
「今ここで言えない事か?」
「おう。ちっとばかし言いづらいんだよ」
「飯を食ってからじゃダメか?腹減っているし、妻が作ってくれたから今食いたいんだが」
何とか追い払おうとしてみる。せーちゃんの弁当は冷めても美味しそうだが、早く食べたいのだ。
「汐見くん奥さんがいたの?」
「おう。世界一可愛い妻だ」
「なら仕方ないって言いたいんだがな、俺も気持ちは分かるし。ただ、こちらも引けない用事でね。頼むわ」
どうやらこの二人が諦める気は無いらしい。何の用事か知らないが、これ以上付き纏われるのは面倒だ。仕方ない。
「…何処に行くんだ?」
「そうね。だったら文芸部の部室に行きましょう。今の時間は誰も居ないはずよ」
「分かった。ユズ、藤代悪いな。ちょっと行って来るわ」
「汐見、何かあったの?」
「さぁ、分からないな。まぁ、何とか話付けてくるよ」
「ミナ…。気を付けてね」
「ん。また後でなユズ、藤代」
ユズ達に手を振り、北条姉弟に付いていく。
二階の廊下を進むと文芸部の部室が見えてきた。
「汐見くんここよ。入って」
「分かったよ」
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
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