第39話 厳島と小鳥遊
「失礼ですが、祓魔師って魔族に対してどう思ってるんですか?」
気になった事を尋ねてみる。魔獣から人間界を守る存在と聞いたが、魔族に対してはどう思っているんだろう。
「ふむ。全員が全員ではないが、俺個人としては、友好的な関係を築きたいと考えている。よく誤解されるが、我ら祓魔師が祓うのはあくまで魔獣だ。魔獣は人間も魔族も見境なく襲う危険な獣。それらを駆除する為に魔族と手を取り合いたいと考えている。恥ずかしい話だが、人間の祓魔師だけで全ての魔獣を倒せるとは到底思えない。利己的で申し訳ないが、魔族に力を貸して貰えると助かるんだ。それに個人的なんだが、昔危ない所を魔族に助けて貰ってな。魔族に対して好意的に見てるんだ」
「うちもそんな感じかな〜。助けて貰えるなら助けて貰った方がいいと思うしね〜。人間だけで出来る事なんて本当に限られてるし〜。『風の枝』では何人かの魔族達にお仕事手伝って貰っているし〜、交流も盛んなんだよ〜。それにうちも昔魔族に助けて貰ったんだよ〜。いっくんと一緒にね〜。ねー、いっくん」
「そうだな。愛莉と共に助けられたんだ。だから少なくとも俺達は魔族と友好的な関係を目指している」
なるほど。嘘は見えない。であれば、彼らは信用出来るかも知れない。一つ気になったのは
「あの、厳島さんと小鳥遊さんはどんな関係なんですか?」
「俺達は幼馴染であり、相棒であり」
「
◆◇◆
「セシリンはミナっちと婚約者なんだね〜。うちらと一緒だ〜。恋バナしよ〜」
「うん。やろうアイリちゃん!」
婚約者仲間?という事で仲良くなるせーちゃんと小鳥遊さん。女子は仲良くなるの早いな。
「君達も幼馴染で婚約者だったんだな。まさかこんな所で俺達と同じ関係の人に出会えるとは思わなかったよ」
「俺もですよ。こんな事あるんですね」
「種族は違えど、誰かを思うのは皆同じか。なんだか嬉しいものだな」
「はい。俺もそう思います」
「改めて、次があるかどうかは分からないが、また現場で出会えばよろしく頼む」
「こちらこそ。よろしくお願いします」
こうして俺達にまた一つ不思議な繋がりが出来た日だった。
◆◇◆
「所でリグルですが、お任せしていいですか?」
忘れかけていたが、リグルを捕まえる為と
「ああ。責任を持って預かろう」
厳島さんは力強く頷く。ちなみにリグルは既に戦う気力もないようで俯いている。その傍らにカスミがおり、二人を監視するように六花と悠馬が控えている。
「さて、やる事もやったし、帰ろうかせーちゃん」
「そうだね明日も早いし帰ろうミナくん」
「では、またな。また連絡しよう」
「まったね〜」
「湊くん、セシリアさん、ゆーくんを助けてくれてありがとう」
「助かったよ。ありがとうな」
「それじゃあまたな」
「またね」
祓魔師達と別れて帰路に着く。
「明日はお父さんとお母さんに挨拶だね」
「俺の両親もだな」
「緊張する…ミナくんは大丈夫?」
「めちゃくちゃ緊張しているよ」
「良かった。私だけじゃないんだ」
「うん。とりあえず明日頑張るよ」
「私も頑張る」
明日は互いの両親に挨拶する日だ。
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