第52話

「はじめまして。狩人ギルドへようこそ。どんなご要件でしょうか?」


 せーちゃんとアルに連れられてやってきたのは狩人ギルド。RPGとかで良く見る中世風ではなく、近代的なホテルを思わせる。受付の男性がにこやかに尋ねてくる。ちなみに耳が長く、金髪碧眼の美青年である。まんまよく見るエルフの外見だ。見た目は20代前半だが、実年齢はわからない。


「すみません、パーティ申請をしたいんですが」


「かしこまりました。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「はい、汐見湊と言います」


「シオミ様ですね。少々お待ちください。…確認が取れました。アルバート様とセシリア様のパーティーである『ホムラ』でよろしいですか?」


「はい、お願いします」


「では、『ホムラ』のパーティ申請を行います。こちらの用紙に必要事項を記入していただけますか?」


「分かりました」


 手渡された用紙には名前、種族、年齢、性別、住所、その他注意事項等が書かれていた。名前や年齢は分かるけど、種族は初めて見た。やはり魔界は色々な種族がいるようだ。


「ん〜、住所どうしよう?人間界の住所?」


「私の住所で良いんじゃないかな」


「住民票とかは必要無いの?」


「狩人ギルドにはだと色々な人がいるからね。よほどの事が無ければそこは大丈夫だよ」


「そっか。わかった」


 せーちゃんに住所を教えられながら必要事項を埋めて行く。書き終わり受付に渡す。受付の男性は用紙を一通り確認していく。


「確認いたしました。では最後に登録と口座の開設をいたします。狩人としての報酬は口座に入金されますことをご了承ください。また、口座はシオミ様以外には使用出来ませんのでご注意ください」


「分かりました」


「では、こちらの水晶に手を触れていただけますか?」


「はい、こうですか?」


「はい、では登録いたしますのでそのままお待ちください…。はい。これでパーティ『ホムラ』の加入は終わりました。では、口座をお作りいたしますのでお掛けになってお待ちください」


 受付は近くにある椅子を示す。なんというか、割とサクサクと進んでいくな。


「魔界だと狩人の登録する人は結構いるからね。効率的になってるんだよ」


「なるほど」


 せーちゃんが教えてくれた。ふむ。魔界では結構メジャーな職業なのかも知れない。


 待つ事数分。ギルドカードと口座が出来た。RPGとかで良く見るカードだ。ファンタジー全開でテンションが上がる。カードには『ミナト・シオミ Dランク』と書かれている。狩人にはランクがあり、上からSランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクの六段階となっている。上に上がる程難易度が高い依頼を受ける事が出来る。危険ではあるが、その分報酬が上がって行く。実力次第では億万長者になる事も可能である。ちなみにいきなりDランクになっているのはノヴァさんの推薦があったからだ。本来ならばEランクからのスタートだが上位の狩人による推薦でDランクから始められるようだ。


 ちなみにせーちゃんとアルは、共にBランクである。狩人としての仕事はあまりやっていないそうだが家業である狭間の世界の管理と魔界の領地経営、そして何より魔獣の討伐が評価され、特別にその地位まで上がったらしい。Aランクの昇進試験は今度受けるとの事。


「おお…ヤバい!テンション上がる!」


「ミナくん嬉しそうだね」


「だってなんかファンタジーじゃん!なんか凄いじゃん!」

 

 語彙力皆無になっている俺を微笑ましそうに、見つめるせーちゃんとアル。


 後から思い出し、恥ずかしさで身悶えしたのは言うまでもないだろう。


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