第44話 嫁の両親と挨拶④
欲望を曝け出す。ノヴァさんはそう言った。欲望、俺が望む事。
「(表面的な事では無いよな。俺が本当にしたい事…)」
幼い頃を思い出す。せーちゃんと出会った事。危険な思いをした事。離れ離れになった事。考えた先に一つの
「せーちゃんの全てが欲しい」
「ふぇ!?ミナくん!?」
「…父親の前で娘の全てが欲しいってどうなんだい?その欲望はどうかなって思うんだけど…」
せーちゃんは顔を真っ赤にして、ノヴァさんは複雑そうな表情である。それでも俺は続ける。
「喜びも怒りも悲しみも笑顔も痛みも全て。共に背負い歩いて行きたい。二度と離れないように。ずっと一緒に」
「ミナくん…」
「……」
「そして、あの時のように何も出来ないのはもう嫌だ。だから」
「せーちゃんを守れる強さが欲しい。強くなりたい。いや、強くなってやる!」
これが俺の欲望だった。強さへの渇望。根底にあるのは愛おしい人を守り、共に歩む力。みっともないかも知れない。醜く浅ましいのかも知れない。でも、偽る事はしたくない。
身体の内側が熱い。奥底から力が湧いてくる。魔力が力強く身体を駆け巡る。光が全身を包み込む。
「ああ…、前言撤回しよう。素晴らしい欲望だ。そして、『従魔』が生まれる。心からの思いだったか」
ノヴァさんが感心したように頷く。光の中で何かに触れる。光が集まり、形作る。やがて光が収まるとそこには球体状の物体?生き物?がいた。赤色の直径20cm程の胴体に丸い手足。つぶらな瞳でこちらを見つめる。頭部?には小さな角があり、背中には手のひら程の翼がある。
「これは…?」
「キュ!キュ!」
「『従魔』を生み出す程の強い欲望なんだな」
「従魔、ですか?」
「
「欲望を叶える、従僕…。俺が望んだからこの子は生まれたんですね」
「その通りだ。良いね。君の力が、欲望がどれだけ強いのかを私に見せてくれ!」
「…まだ良く分かっていないんだけど、手伝ってくれるか?俺は強くなりたい。君の力が必要だ」
「キュ!」
任せろと言うように従魔が声を上げる。そして従魔の目が光ると再び変化が起こる。身体が軽い。力が湧き上がる。今ならどんな敵も怖くない。そう感じる。これが従魔の力か。
「お待たせしました。続きをお願いします」
「ああ。戦うとしよう」
互いに構える。第2ラウンドだ。
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