第47話 実家で挨拶①

「お〜い、みっくん。大切な話があるって何が…―ってみっくんが女の子連れてるー!?お父さん!お母さん!みっくんが女の子連れて来たんだけどー!!」


 せーちゃんとせーちゃんの家族と共にやってきた実家。俺達を出迎えたのは姉の瑞希である。せーちゃんの姿を見るや否や家の中に走り去ってしまった。父さんと母さんを呼びに行ったのだろう。身内である為何だか気恥ずかしい…。


「すみません…騒がしい姉で…」


「気にしないさ。むしろ快活なお嬢さんで良いじゃないか」


「そうだよミナトくん。仲良くなれたら良いな〜」


「あれがミナくんのお姉さんなんだ。元気だね〜」


 せーちゃん一家には割と好評のようだ。それに


「ミナはここに住んでいたのか。頑丈そうな建物だな」


 もう一人。せーちゃんの弟のアルことアルバートもいる。狭間の世界という場所から一時的に帰宅している。なんでも、姉の夫がどんな人なのかが気になったらしい。


「ミナだな、はじめまして。姉上から話は聞いている。ボクの名はアルバート・ロンド・ベルガンド。次期魔王になるべく狭間の世界を管理を任せられている。以後お見知り置きを」


 なんだか不思議な口調だったが、ノヴァさん曰く、昔のノヴァさんの口調を真似たんだとか。それを指摘されるとアルは顔を赤くして、そっぽを向いた。恥ずかしいらしい。


 しばらくしてから複数の足音が聞こえてきた。父さんと母さんと姉である。


「えー!本当に女の子を連れて来てる!あの湊が!?」


 先に声を上げたのは母である深雪みゆきである。母さんの中で俺がどんな評価なのかが気になるが今はスルー。


「お〜。偉いべっぴんさんやな。流石儂らの子供」


 次に父である蒼太そうたが声を上げた。こちらは母と違い、評価が高い。


「びっくりだよねー!というか、みっくん女の子に興味あったんだ。初めて知った」


 最後に瑞希。母と同様にどんな評価されているのかが気になる。とはいえ、彼女を作った事が無いのでまぁ仕方ない反応である。2対1で俺に彼女が出来たのが驚きが勝つらしい。


「ん〜?というか昔、湊とよぉ遊んどった『せーちゃん』やん?大きなったなぁ。そっかそっか、湊の彼女さんはせーちゃんか。湊をよろしゅうな」


「え、あ、もちろんです!よろしくお願いします!」


 どうやら父さんはせーちゃんを覚えているらしい。せーちゃんに挨拶しておりせーちゃんも答えている。いや、父さん順応性高いな。


「え?あ、本当だ。良く見ればせーちゃんの面影あるわね。なるほどせーちゃんが湊の彼女なのね。湊をよろしくね」


「お任せください!」


 続いて母さんがせーちゃんを思い出したようだ。母さんの言葉にせーちゃんが力強く頷く。父さんだけでなく母さんも順応性が高いようだ。


「え、お父さんとお母さん知ってるの?逆になんで私だけ知らないの?」


 瑞希が困惑している。そう言えば瑞希はせーちゃんと会った事無かったな。


「では改めて、俺の彼女のせーちゃんこと、セシリア・ローズ・ベルガンドさんだよ。そして後ろに控えて居るのがせーちゃんのお父さんであるノヴァ・ユース・ベルガンドさんとお母さんであるリディア・マリー・ベルガンドさん。そして弟のアルバート・ロンド・ベルガンドだよ。せーちゃん、ノヴァさん、リディアさん、アルこっちが父の蒼太と母の深雪と姉の瑞希だよ」


「セシリア・ローズ・ベルガンドです。ミナくんとお付き合いさせて頂いています。よろしくお願いします」


「始めまして。ノヴァ・ユース・ベルガンドです」


「リディア・マリー・ベルガンドです。娘がお世話になっています」


「アルバート・ロンド・ベルガンドです」


「おおきに。父の蒼太です。よろしゅうお願いします」


「母の深雪です。湊がいつもお世話になっています」


「え、あ、姉の瑞希です…」


 それぞれ自己紹介を玄関前でしている。姉さんはガチガチになっている。人見知りだしな。


「本日こちらに伺ったのはセシリアのであるミナトくんのご両親に挨拶をと思いまして。連絡も無しに伺ってしまった事お詫び申し上げます」


「気にせんでくださいな。湊の婚約者のご家族ですからね。いつでも来てくだされ」


「ありがとうございます」


「「え?え?」」


 ノヴァさんが頭を下げて父さんが軽く答える。母さんと姉さんは一瞬頭に?を浮かべたかと思いきや


「「婚約者ーー!!?」」


 近所に響き渡る声で驚いていた。


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