第46話 結婚の条件

 屋敷に帰ってきた俺は、少し休憩した後、ノヴァさんからせーちゃんと結婚する為の条件を聞く事に。


「結婚する条件は2つ。ミナトくんが魔人へと転生する事とセシリーの呪いを解く事。大丈夫かな?」


「せーちゃ…じゃなくてセシリーさんの呪いについては絶対解こうと思っていました。でも魔人に転生、ですか?」


「そうだね。1から説明するよ。まずミナトくんはセシリーの眷属である上位悪魔アークデーモンになった。これは魔人族特有の能力である人間を眷属にする力によって転生したんだ。ここまではいいね?」


「はい。大丈夫です。セシリーさんから聞きました」


「その眷属なんだけど、進化するのは知っているかい?」


「え、進化ですか?すみません。知りませんでした」


「謝らなくていいよ。魔人の中でも知る者は少ないからね。魔人の眷属になった人間は特定の条件を満たすと、主である魔人の力を借りて再び転生出来るんだ。今度は魔人としてね」


「あ、なるほど。魔人に転生とはそういう事ですか」


「魔人に転生する為の条件として大きく分けて2つ。1つ目は君が魔人足り得る力を身に付ける事だ」


「強くならないといけないって事ですね。もう一つを教えていただいてよろしいでしょうか?」


 そこでノヴァさんは少し考える素振りを見せる。言い辛い事なんだろうか。


「う〜ん。教えようか迷ったんだけどね。もう一つの条件については秘密にしておくよ。君への宿題と言った感じかな。それにもう一つの条件は君自身で気付いた方がいいだろうから」


「宿題、ですか。分かりました。見つけます」


 どうやら一筋縄ではいかないようだ。頑張って見つけよう。


「うん。多分だけど、魔人になるのは割と早い気がする。君の実力ならば後もう少し頑張ればいけそうだし、もう一つもあまり心配してないかな。ヒントと言う訳じゃないけど、もう一つの条件は危険な事じゃないよ。ただ、まぁ何にせよ、セシリーを大切にしてあげてね」


「分かりました。ありがとうございます」


 せーちゃんを大切にするのは当然だろう。だが、当たり前が一番大事なのだ。ノヴァさんの言葉を心に刻む。


 そんな俺にノヴァさんは頷きながら次の条件を提示する。


「結婚の条件として一番厳しいのはやはりセシリーの呪いを解く事だろうね。以上、解呪方法を探さないといけない。ただ、セシリーの呪いに関しては私達も解く方法を探すから一人で背負う必要はないよ。何か分かれば連絡するし、逆に分かった事があれば連絡して欲しい」


「分かりました。でもどのように連絡すればよろしいでしょうか?」


「うん。これを使って」


 ノヴァさんに手渡されたのは手のひら大の長方形の透明な板だった。


「これは、スマホ?ですか?」


「スマホを解析して再現した物だ。とはいえ、人間界の物とは違い、いわゆるメールのみにしている。機能に関してはまた別の機会に増やす予定だ。これで連絡をして欲しい」


「分かりました。お預かりします」


「これで一通り伝えたかな。所で今からどうするんだい?何か予定はあるかな?」


「あー、そうですね、これから僕の両親とセシリーさんに会ってもらおうかなと」


「なるほど、じゃあ私達も行こうか?」


「へ?」


「うん。私達もミナトくんのご両親に挨拶しようかなって」

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