第57話 ハジメテ

 せーちゃんと次の段階に進む。心臓がバクバクいっている。先にせーちゃんがお風呂に入る事になった。待つ時間が長く感じる。シャワーの音が普段より大きく聞こえる。ベッドの上で悶々となる。


 今緊張していたら精神的に保たない。かといって何か気を紛らわせるものも無い。瞑想しようかと思えば邪念が多すぎる。


 仕方ないので氷の魔法で犬や猫の氷像を作ってたりしていた。何か作業に集中しないと色々とキツイ。


 お風呂場から音が止む。シャワーが終わったようだ。今頃、湯船に浸かっているのだろうか…。


 振り払おうとすればする程煩悩が募っていく。いっそのこと煩悩を楽しんでおこうかとも考える。


 お風呂場の扉がゆっくりと開く。振り向くと、バスタオル姿のせーちゃんがいた。お風呂上がりで上気して赤く染まる顔が扇状的だ。


「…上がったよ、ミナくん」


「…うん。入ってくるね」


 せーちゃんと入れ替わりでお風呂に入る。いつもより念入りに洗う。


 お風呂から上がるとベッドの上でせーちゃんがモジモジしている。もちろんバスタオル姿のままだ。仄かに赤く染まった肌が美しい。


 そっとせーちゃんの隣に座る。少しの間室内に沈黙が流れる。


「せーちゃん」


「ミナくん」


 2人同時に呼び合う。見つめ合い、距離が近づく。


「大好きだよ」


「私もミナくんが大好き」


 想いを伝え合い、キスを交わす。そっと触れるだけの軽いキス。唇が触れる時間が長くなり、ゆっくりと舌を絡める。最初はおっかなびっくりだが、徐々に情熱的に。


「ん…ん…んちゅ…ちゅぱ…んぅ…んちゅぴ…んぁ…好き…ミナくぅ…んぅ…好き…好き…んちゅ…ぷはっ…ミナくん…ミナくんが欲しいよぅ…」


「俺も、せーちゃんが欲しい…」


 潤んだ瞳。熱い吐息。2人の間に光る橋が出来る。


「ミナく、んぅ…あ、やぁ、そんな、恥ずかしいよぅ…」


「綺麗だよせーちゃん。とっても綺麗だ」


 せーちゃんにそっと触れる。きめ細かい肌は雪のようだ。壊れぬように優しく。


「あ、だめ…あ…や…んぁ…んぅ…そんな触っちゃ、だめ…」


「せーちゃんが気持ち良い所を教えて?」


「そんな、恥ずかしいよ…あ…ん、そこは、あ…んぁ!」


「ここが良いの?じゃあ、優しく触るね」


「あ、ミナく、んあ、やぁ、んぉ!」


 せーちゃんが弱い部分、敏感な部分を重点的に責める。


「なんでぇ…?なんで私の…んぅ!弱い…んぁ…所が…分か、あ、あ、やぁ、そこだめぇ…!」


「なんでかな。不思議とせーちゃんの弱い部分が分かるんだよね」


「お…、んぉ…、そっか、んぁ…、眷属の…、おっ、効果が…んあぁ!」


 眷属の感覚共有の効果らしい。ならば、使える物は全て使おう。せーちゃんが弱い部分を優しく責め続ける。すると


「あ、あ、ミナく、ん!だ、だめ、あ、ああぁあぁあぁ!!」


 せーちゃんの身体がビクンと跳ねる。どうやら達したらしい。


「ハァ…ハァ…ミナくん…」


 せーちゃんがトロンとした瞳で見つめてくる。そんな表情に愚息が痛いほど反応している。


「せーちゃん、良いかな」


「うん…ミナくん…」



「私の初めて…貰ってください…」


 薄明かりの中で2人が1つに重なった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る