第11話 嫁と部屋

「ところで、ミナくん今日はこれからどうするの?」


「んー。特に予定はないかな。せーちゃんは?」


「私も無いなぁ。あ!じ、じゃあミナくん、これから、デート、とか」


「う〜ん。デートかぁ」


「…嫌なの?ミナくん?私とデートするのは嫌なの?なんで?私の事が嫌い?」


「嫌じゃないよ。俺もせーちゃんとデートしたいから。ただ、小さいことを気にする男だと思われそうだけど、初めてのデートはちゃんとしたいんだ。何と言うか、二人の思い出になるようなデートにしたいなって」


「二人の思い出…えへへ…」


「恋人が出来た時に行きたい所があってさ、次の土曜日か、日曜日にせーちゃんと行きたいなって思って。だから自分勝手だけど、ちょっと待って欲しい」


「そっか。じゃあ仕方ないなぁ。土曜日か日曜日を楽しみにしておきます!」


「うん。せーちゃんが楽しめるように色々なスポットを調べておく」


「ミナくんとなら何処でも楽しいけどね。えへへ」


 そう言ってくれるのは嬉しいがそれに甘え過ぎるのも悪いから、キッチリと調べるか。出来ればせーちゃんと楽しめるのが良いよな。


「代わりと言ってはなんだけど、せーちゃんと昔遊んだ公園にでも行ってみる?」


「いいね!久しぶりだよ!あ、でもそろそろお昼時かな」


「じゃあ、まずは昼を食べてからかな」


「お昼はどうするの?」


「んー。学食を食べる予定だったから何も持ってきてないんだよな。何処かに食べに行く?」


「あ、じゃあ、私が何か作ろうか?」


「え?せーちゃんが作ってくれるの?いいの?大変じゃないか?」


「ううん。そうでも無いよ。料理するのは結構楽しいし、それに…」


「?」


「…ミナくんに食べて欲しくて、花嫁修業頑張ったから…」

 

 せーちゃんが顔を真っ赤にしている。俺も顔が赤くなっているだろう。


「じ、じゃあ、お願いします…」


「は、はい…頑張ります…」


 微妙に気まずい空気の中で、せーちゃんに手料理を振る舞ってもらう事になった。


◆◇◆

「お、お邪魔しま〜す…」


「誰もいないから大丈夫だよ」


「でも、緊張するの!ミナくんのお家に初めて来たんだから!」


「そういや、そうだな」


 せーちゃんが初めて家に。ヤバい今更緊張してきた。


「ミナくん一人暮らしなんだね」


「まぁ、家の方針でね、一度は一人暮らししてみるのもいいんじゃないかって両親に勧められたんだ。学生用のアパートだから安めになっているし、ちょうど良いかなって」


「ほぇ~。なるほど〜。弟のアルくん以外の男子の部屋に入るの初めてなんだけど、結構綺麗にしてるね。アルくんもそうだけど、男の子ってしっかり掃除する感じ?」


「どうかな。俺は単純に物が少ないだけじゃないか?」


「埃も無いし、床にゴミが落ちてないし、ミナくんって綺麗好き?」


「分からないな。普通ぐらいだと思うけど」


 強いて言うなら趣味がバスケと絵を描く以外だとYouT○beとラノベ読むぐらいしか無いから?俺趣味無さ過ぎじゃね?


「う〜ん。散らかっていたら掃除しようかなって思ってたんだけど綺麗好きだったか〜」


「せーちゃんに任せっきりてのは気が引けるというか」


「む〜。ミナくんの事は私が全部管理したいのに〜」


「あはは、それじゃダメ人間になりそうだね」


「むしろ、私が居ないとダメになって欲しいんだけど?」


「それはまぁ考えておく。それよりも食材どうするの?」


「冷蔵庫に何があるの?」


「う〜ん。人参とか、じゃがいもとか?後は、豚のひき肉があったような」


「あやふやだね?普段料理はどうしているの?」


「炊飯器で米を炊いて、フライパンで冷蔵庫に有る物焼いて食う。焼肉のタレがあれば大抵の物は食える」


「ワイルドだね。じゃあ冷蔵庫を確認して、食材がなければ買いに行こうか」


「分かった」

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