第51話 実家の挨拶⑤

「母さん、俺はせーちゃんと結婚がしたい。大好きなんだ。だから俺はどんな道であろうとせーちゃんと一緒に歩いて行きたいんだ」


「湊…むむ…でも…」


 母さんは頑固な性格だ。一度言った事は中々覆さない。真っ直ぐな性格であるのだが、こうなると長い。


「危ない事はしない。無理はしない。疲れた時はちゃんと休む。だから認めて欲しい」


「ん〜…分かった…認めるわ。でも絶対無理しないこと!いいわね!?」


「母さん、ありがとう」


「それと、せーちゃん!」


「は、はい!」


 近くで成り行きを見守っていたせーちゃんに話しかける。


「湊をよろしくね。湊を傷つけたら許さないからね」


「ハイ!ミナくんを守ります!」


「よろしい。じゃあ私から言う事はありません。湊、大変だろうけど、頑張りなさい。陰ながら応援してるから」


「ありがとう」


 ようやく認めてくれたようだ。約束を破らない様に頑張らねば。


◆◇◆

「それでこれからどうするの?」


「これから、魔界に行って狩人ギルドのパーティ申請をしよう。アルくんや私もいるから大丈夫だよ」


 両家に挨拶してからの帰り道。せーちゃんにこれからの予定を尋ねる。


「分かった。ちなみにアルとせーちゃん以外に誰か居るの?」


「バカップルがいる」


「あ、こら、アルくん。そんな風に言っちゃダメだよ」


 代わりに答えたのはアル。バカップルとは。そんなせーちゃんにアルは嫌そうに顔を顰めて


「四六時中イチャついているアイツらを他に何と呼べばいいんだ?魔獣討伐の際にもイチャついてるんだぞ?」


「いいよね〜憧れるな〜私もミナくんとイチャイチャしたいなぁ、うふふ…」


「バカップルが増えた」


 アルがまた嫌そうにしている。否定はしないけども。


「アルは好きな女の子とか居ないのか?恋愛とか興味無い?」


「…興味はある。でも姉上を見てると、こんな感じになるのかと思うと、なんか嫌…」


「あ〜、分からないでもない」


 気難しい年頃らしい。恋愛に興味はあるけど、姉の姿を見て迷いが生まれたらしい。確かに身内がデレデレとしているのを見るのは中々キツイ。ニャンニャン言いながらかず兄にすり寄っている姉さんを見て「うわ、キッツ!」とつい、口に出してしまった事があるからよく分かる。その後、当たり前の様に姉さんにシバかれたが。


「何を〜!ミナくん!イチャついてアルくんに見せつけちゃおう!」


「せやな」


「止めろー!このバカップルが!」


 せーちゃんの提案なら仕方ない。超高速で手のひらを返し、アルに見せつける様にイチャつく。


 結局、ノヴァさんたちが出てくるまでせーちゃんとイチャついていたのであった。

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