第54話 エッセイ、小説、感想、レビューはそれぞれ別物なので……
「良いのだけれど、物足りない」
エッセイを読んでいて、こう感じたことは無いだろうか?
長さはあまり重要ではない。満足感は内容で決まるものなので。
あっさりとしていると物足りなさを感じるのは仕方ないことだと思う。
一分程度の動画でも満足することは多い。
反対にいくら長くてもまったく満足感のないものも存在する。
満足感のあるものには知りたい情報と答えがある。
例えばエッセイというのは内容が自由なので、自分の思想を述べることはあると思うんだよね。でもテーマに対して自分はこう思うと述べているだけだと、ただの自己主張なの。
大切なのは理由。
理由を述べるためには前提、体験、思想、経緯について述べる必要がある。
その【情報】を持って、読者は自分なりの【答え】を得るから満足感があるんだと思う。
仮に発信者と意見が違っても、この人はこういう体験をしてこういう考え方をしているから、自分とは意見が違うんだなと思えばそれで満足感は得られる。
相手と異なる部分を知れば、意見が合わなくても否定されているとは感じないものなんだよ。
自己主張しているだけだと、相手への意見の押し付けにしかならない。
共感や説得力をプラスする為にも【理由】に関しては丁寧に述べる必要がある。それがないから満足感を得られないの。
反感持って終わりとかになってしまう。
とは言え、エッセイの書き方なんてものは教わる機会はない。考え方の述べ方も、授業で発表はあるものの【何が正解】なのか教わる機会は少ないと思う。
自分もそんな経験したことはないので。
じゃあエッセイはどうしたら上手く書けるようになるのか?
俺も上手い方ではないけれど……恐らく、「他人は自分に対して理解を示さないものだ」と思うことで上手くなると思う。
理解されないと分かっていれば、それなりに「こうだからこうなんだ」と説明する必要があるでしょう?
分かり合えなくても良いの。言いたいことを正しく理解してもらおうという姿勢が重要。
自分の言っていることが相手にすんなり理解されるはずという意識があればあっさりになるし、何も満足感を与えることは出来ないと思うんだよね。だって、それだと相手に何も考える機会を与えないでしょう?
そして理解されたいと願えば、なるべく読みやすくしよう、わかりやすくと心がけるはず。そうなってくると改行や表現、空行の取り方、文字数に気を遣うようになる。
だから文章力が向上するのだと思うのね。
エッセイでは考えを述べる機会は多い。そうなると理論上は感想も上手くなるはずなんだけど……
そうは問屋が卸さない!
小説が書けるから、エッセイが書けるわけでも感想が書けるわけでもレビューが書けるわけでもないのと同じで、エッセイを書いていても感想が上手くなるわけではない。残念なことに。
エッセイを書いていて上達するのは【心情の表現】だと思う。
そしてレビューと感想は向けが違う。
レビューは説明が上手ければ上手く書ける分野だと思う。
感想は読解力とテーマが必要になってくる。どこに注目して何を述べるのか? それがテーマね。そんなわけで自分にとって一番難しいのは感想だと思う。
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