第48話 謀ったなシ○ア!?(違います)
ミカエラとインテが死闘を繰り広げていた時、ペンティアムとラファエラはガブリエラ、ウリエラと共に教皇ミレニアムの側に居た
聖教会中央本部大聖堂は燃え上がり、市街地も無差別絨毯爆撃でも受けたかの様な瓦礫の山と化していた
王城の大半も、強大な魔力に依り破壊され、そこかしこに無残な死体が散らばっている
かろうじて、教皇の私室だけは、ペンティアム、ガブリエラ、ウリエラの強固な三重魔法結界で護られていた
既にガブリエルとウリエルは召還され、二人のサポートをしているが、迫り来る業火を魔力結界のみで防ぐのは不可能だった
(くそっ、サリエラもミカエルも念話が通じない?アイツのジャミングか?)
ソレは強大な魔力によって、辺り一面の時空を歪め、守護天使の念話さえ遮断していた
「アッハハハハ!
ペンティアム出てこい!ミレニアムを殺せば、聖王国も終わりだ、貴様の忌々しい封印も完全に解ける!」
正体不明の敵の影が揺らめいて見えるのは、火災による陽炎だけで無く、時空の歪みの影響だ
もっとも、ペンティアムには敵の正体の目星は付いていた
行方不明になっていた、見習いシスターのモトローラの姿をしたソレの中身は、恐らく調和の月の精霊龍ハモニアルだろう
ペンティアムの設計した聖都は、人々の信仰心を集束させ、エネルギーとして強固に封印を維持する仕組みであった
しかし、如何に聖気に覆われ、邪悪な存在を廃しようと、人の存在は純潔ではあり得ない
そうした、人々の業と想念の歪みが、信仰心と同様に集束され、大聖堂地下深くに封印された悪意に利用されてしまった結果だった
「護りを固め、閉じ籠っても無駄だ!
魔力だけの存在でしかなくなった私が、貴様への対抗手段を考えていないとでも思っているのか?」
モトローラの姿をした少女が幾重もの複雑な魔方陣を展開して、魔王を召還する
「蹂躙せよアシュタローテ!お前の敵は其処に居るぞ、全てを灰塵に帰せ!」
大聖堂の上空に黒雲が渦を巻き立ち込めると、昼間だと言うのに辺りは暗くなる
旋風が周囲の火炎を呑み込み、火災旋風と成り立ち昇る
そして、渦巻く炎の中に、十二対の漆黒の翼を持つ存在が顕現する
その場に居る全員が、絶望と、言い知れない恐怖に囚われる程の絶対的強者
「魔王」
しかし、封印は未だ機能している筈
ペンティアムは魔王を睨み付け、脳細胞を超高速で並列処理し対処法を模索する
しかし、前回の様にこの大陸ごと破壊してしまう訳には行かない
「あ、ああ……」
ラファエラが眼を見開き涙する
彼女は、本能的に魔王の肉体が己の魂を分けた一部であると理解した
「……人間の血肉を実体化の触媒に利用したのか?外道め!!」
女神に祝福されたラファエラの赤子の肉体と魂を犠牲として、魔王を顕現させたのだと理解したペンティアムが叫ぶ
「あ、ああ、ああああああーーーーーっっ!?」
半狂乱で喚くラファエラを、ガブリエラとウリエラが支える
「二人とも離すな!今のラファエラは何をするか分からん!」
アンデッドと成ったラファエラの心は、深い悲しみの闇に沈もうとしていた
かろうじて、人間であった心を繋ぎ止めていたのは、奪われた赤子への執着と、勇者への復讐という救いようの無い信念だけだ
カエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセソレハワタシノワタシノタイセツナモノダダレニモワタサナイワタサナイワタサナイワタサナイカエセカエセカエセカエセカエセカエセ!!!!
「キャハハハハ!その顔!最高だよ!
どうにもならない、取り返しのつかない悲しみに引き裂かれる心!」
「黙れ!ハモニアル!」
「ミレニアムよ!貴様の父親と友人を殺したのは、この私だ!苦しかろう?」
ミレニアムが気丈にハモニアルを睨み付ける
「罪も無い民を傷付けておいて何を言うか!?
貴様こそ、思い上がるな!」
「お前に恨みは無いがな、我に楯突いたお前の父親を恨むが良い!」
「舐めるな!人間は決して貴様などに屈しはしない!!」
「魔法結界を張るしか能の無い貴様達に、何が出来る?さあ!アシュタローテよ、奴等を八つ裂きにしてこの世を魔界に創り変えるのだ!」
「させるかよ、糞が」
遥か成層圏の更に上から、極極超音速で飛び込んだ閃光がハモニアルを捉える
衝撃波が辺りを襲い、深く抉れたクレーターの中心部で、聖剣を鎧の様に身に纏ったミカエラが立ち上がる
「二度目となりゃあ、何とか着地出来るもんだな」
「アンタもう、人間の看板下ろした方が良いわよ?」
続けて着地したクレセントが、なかば呆れながら言う
「「「ミカエラ!?」」」「お姉様?」
ズドン!!
少し遅れて龍人形態のセレロンが、アシュタローテを直撃して吹き飛ばした
「さあて、真打ち登場だぜ、
待たせたわね、一丁派手に行こうか!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます