第21話 E = m c 2って何?
作中で示される物理の解説は、あくまで物語の世界での理屈で、実際とは全く異なります~
◆◆◆◆◆
スタコラサッサーと逃げていたパワーマックの馬車が、突然爆発、四散しやがった
別に私が何かやった訳じゃ無い
「ポチっとな」もしてないし、そもそもこの世界には火薬の概念すら無い
「……魔力による狙撃ね」
うおっ?ビックリしたあ!?
突然、師匠が隣に現れた
「え~と、
師匠お得意の、隕石落としとか?」
「私の事を何だと思っているんだ?
あんな雑魚にわざわざ奥の手を、使う訳が無かろう?」
いや、平然と話してますが、そもそもポンポンと「転移」出来るのが異常ですから?
と言うか、私達の現状をしっかりと把握していらっしゃる
さては、こっそり覗いてましたか
「伯爵はやはり、あの中に?」
「今さらだな
調べても何も出まいよ、それよりも、だ」
人外師匠が大聖堂の上を見て眼を細める
そこには、いつの間にか誰も居なくなって居た
「何か変なのが紛れ混んでるな」
やっぱりね
「この際だから、教えておいてあげるわ
この世界で、魔法による物理干渉出来るのは、この私だけだ
そもそも魔法とは物理現象では無いのだからな、魔力をを認識する事が出来ない一般人に魔法の概念が理解できない様に、物質の本質を理解出来なければ魔法による物理干渉は不可能だ
魔力だけで構成された召還天使のミカが、物質に触れる事が出来るのは、触れた部分に微量な魔力を纏わせるからよ」
難しい事を難しく解説するなぁ
「ミカエラ、この私は何だと思う?」
「……人間、で、すよ……ね?」
「何故、疑問形なんだ?失礼な奴だ
まあ良い、(良いんだ)では人間とは何か分かる?」
あ、それは昔に師匠から教えて貰ったぞ
確か、魂の器?
「良く覚えていたわね、その通りよ、
融合天使のサリエラは、物質の器を持つ魂(魔力)であるから、物にも触れられるし、エネルギーを消費すれば疲れもするわ」
師匠はテーブル上のコップと水差しを手に取ると、コップに水を注ぐ
「この器であるコップの材料は、砂と灰よ」
「???透明ですよね?」
「混ぜて加熱すると、こう成るの
これが物質を構成する理屈よ」
続けて、コップの水を床にこぼした
「いま、私がコップに水を注ぎ、床にこぼしただろう?これが運動、
運動は意思に基づいて行われた訳だ」
「???」
「砂と灰を加熱して硝子に変質させるのも、水を溢すのも、意思に依って引き起こされた現象、これが物理よ」
「??????」
師匠はもう一度、コップに水を注ぐと、指でかき混ぜた
中の水は渦をまいてグルグル廻っている
「これが、物理現象よ」
「????????」
師匠がコップから手を放し、今度は離れた位置から指を立てる
すると、回り続ける水が竜巻の様に空中へ伸び始めた
「これが、魔力による物理干渉」
そう言うと、コップの中の水はパッと消える
「水差しの中に戻したわ
これも、物理の本質を理解出来なければ発動は不可能よ」
「……えーと、師匠の転移魔法も同じ理屈なのでしょうか?」
「そうよ、
物質の絶対座標と時間軸の相関が理解出来れば、ミカエラにも出来るわよ」
いや、絶対無理
「私が昔、月を破壊したでしょう?アレも、コレの応用に過ぎないわ
物質内の特定の原子核の座標を、ほんの少し急激にずらしてやると、連鎖反応が止まらなくなるの」
とうとう、伝説の解説が始まってしまいました
言ってる意味がこれっぽっちも理解出来ません
分かったのは、核爆発テロを起こすのは師匠なら何時でも簡単に出来るって事だけ
「近いけど、惜しい」
はい?
「馬車を吹き飛ばした犯人が、魔法でやったと言うなら、残念ながらそいつも同じ事が出来る可能性が高いのよ」
成る程、確かに……
って、ちょっと冗談じゃ無いわよ?
核テロリストが増えたじゃない!?
「そうだ、冗談では無い
アレは私の専売特許だ!」
え、そっち?
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