第26話 出来る天使は今日も憂鬱
「あ~あ、
こりゃ完っ全にミンチだわねぇ」
ミカエラは、破壊された馬車を覗いてため息を吐く
大聖堂の屋根上から狙撃されたと思われる馬車は、粉々に砕け散っており、中に載って居たと思われる人物も、原型を留めておらず、中々にスプラッターな惨状だった
周りの建物の二階部分などにも、肉片や血糊がへばり着いている
(見た感じ、馬車の外から攻撃したと言うよりも、載って居た人間を破裂させたって感じね)
どうしたら、そんな事が出来るのかは、全く理解出来なかったが、恐らく師匠も出来るのだから、他にも不可能を可能にする奴が居ても不思議では無い
冗談でも、そんな奴と敵対するのは、ご免だが、残念ながら自分を取り巻く環境は、それを許してはくれなさそうである
「教皇聖下が東方支部教会に到着した様だ
私とサリエラはそちらへ向かうから、ミカエラは引き続き犯人の足取りを追って頂戴」
「えーーーー?」
「何だ、その心底嫌そうな返事は?」
「心底嫌なんです!
て言うか、サリエラも連れて行っちゃうんですか?」
「サリエラは元々、東方支部教会の聖女代行の積もりで造ったからね、当然でしょう?
聖下に、紹介と説明もしておかなくてはな」
(師匠、いつかバチが当たるんじゃ無いかしらね……)
「何か失礼な事を、考えていない?貴女」
「ミカエラ様は、何時でもペンティアム様と女神様に感謝しておられますわ」
ナイスフォローだ、ミカ!
「ふむ、まぁそう言う事にしておくか
ミカエラのサポートを頼んだわよ、ミカエル」
「お任せください」
ミカが恭しくお辞儀をして答えると、師匠とサリエラは消える様に居なくなった
東方支部教会へ転移したのだろう
あの人外師匠が、他人の心を読む術を持っているのか確かめる勇気は無いが、言い付けに逆らう勇気は、更に無い
「狙撃犯は、例の変な奴よね?多分……」
「天使の私でさえ、石ころ一つ飛ばす事すら出来ませんのに、ペンティアム様と同じ様な魔法が使えるとなると、強敵ですね!」
なんで嬉しそうなのよ、ミカは?
そんなの絶対、相手にしたく無いっての
「でも、もしかしたらアップル嬢や勇者の手掛かりに繋がるかもしれませんよ?」
糞勇者かぁ
アイツは絶対ブッ殺すけど、殺す前に一発ブン殴らないと気が済まないわね
そうだ!
卍丸をメリケンサックにしたら、魔剣にも対抗出来るんじゃないかしらね?
あれ?今日の私ってば、冴えてない?
「魔剣と言えば、あんな物を一体、何処で手に入れたのでしょうか?」
そりゃあ、聖剣が女神様から賜ったのだから、魔剣は……魔王?え?嘘、本当に?
イヤイヤイヤ、魔王は死んで……無いのか、
封印されてるだけだ
「魔剣と言えば、やっぱり魔王よね?」
魔王かぁーー、
うーーーん、やっぱり帰ろっかな?私
何も気付かなかった事にして、ラファ姉のお店で、とことん呑みたい気分だわ
こんな蒸し暑い日は、モヒートミントライムの炭酸割りでさっぱりしたい気分ね!
そもそも狙撃犯を探すったって、この広い聖都でどうやって見付けりゃ良いのよ?
ミカだって、犬じゃ無いんだから匂いを辿れる訳じゃ無し
「魔力の残滓なら分かりますよ?」
「え?出来るの?」
「はい!結構、特殊な魔力ですから、
足取りくらい追えるのではないかと」
うわー、出来る天使はヤッパリ違うわね!
まさかのK-9出動だわ!
「何か失礼な事考えてませんか?」
何故、分かるんだろう?
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