第31話 三日月は挫けない
今回、残酷な拷問シーンがありますのでご注意下さい(今さらですが)
◆◆◆◆◆
正体不明の少女の名前は、「クレセント」
パワーマック伯爵を、馬車ごと吹き飛ばした犯人は、床掃除を済ませて、後ろ手に拘束して、正座させられている
魔力酔いで真っ赤だった顔色は、真っ青になっているから、酔いは覚めたみたいね
「で?何の目的で伯爵を殺したの?」
「…………」
「だんまりかよ……」
私は一口、ワインをラッパ飲みすると、テーブルにボトルを置いて頭を掻く
名前と、伯爵を殺した事は認めたものの、それからが進まない
「勘違いして欲しく無いんだけど、別に私はテメエを裁判にかけようってんじゃ無えからな」
「…………」
「テメエは貴族殺しで死刑確定なんだよ
今、ここで殺しちまっても私は構わないんだ」
お、少しビクったな?
ふーん、死ぬのは怖いってか
じゃあ、痛いのは我慢出来るかしらね
再び、クレセントにキツく猿轡をする
抵抗はしなかったけど、私を睨み上げてるな
「金色の瞳なんて珍しいわね?」
頭を押さえると、右目に親指を突っ込み、そのまま抉り出してやる
「!!WWW!!!!」
バタバタともがくが、腹に軽く蹴りを入れたら大人しくなる
加減しないと、また床を汚されちゃ堪らない
ベチャ
抉り出した目玉を床に放り投げ、踏みつけて潰す様を、しっかりと見せつけながら、治癒の聖魔法を発動する
血を流す眼窩の孔に、少しづつ目玉が復元されてくると、血と一緒に涙も溢れ出した
「私は女神様に支える聖女だからねぇ、
例え傷付けても、ちゃんと元に戻せるのさ
慈悲深いだろ?」
「フーーッ、フーーッ!」
息が荒い
痛みは感じる様ね、結構ケッコウ
「但し、私は流石に死んじまった者を生き返らす事ぁ出来ねぇ」
ボキッ!
後ろ手に縛った手の指を、一本折る
「ンーーーーッッ!!」
仰け反ってジタバタしてるな
「痛いって事は、まだ生きてる証拠さ
有難いだろう?」
ボキッ!
更に、もう一本
「素直に喋る気に成ったか?」
ブンブンと頷くので、治癒を施し猿轡を外してやる
「さて、じゃあ答えて頂戴?
何故、伯爵を殺したの?」
「アレは、事故よ!
殺す積もりじゃなかったの……」
バシッ!
ビンタをかます
「ふざけた事抜かしてんじゃ無えぞ、糞ガキ!」
「ほ、本当よ!」「あん?」「本当……です」
生意気な態度が直ってくれて、お姉さんは嬉しいわ、人間、素直が一番よ?
いや、もしかしたら人間じゃ無いかもだけど
彼女が言うには、金の月の精霊龍の命令でこの星へ来た事、
ペンティアム師匠の手助けをしたくて、馬車を停める積もりが、過って殺してしまった事、
精霊龍は、師匠に敵対する積もりは無い事が判明した
「で、アンタは結局何者なの?人間?」
「わ、私は精霊龍様に支える月の神子です」
あ、やっぱり人間じゃ無かったか
サリーみたいに、実体を持った魔力的存在かしらね?
それにしても、月の神子とはね
そりゃ、お酒が何かも、知らない訳だわ
でも、どうしてこの子が飲んだビールが、魔力で充たされたのかしら?
「ねえ、何故アンタが飲んだビールが魔力だらけに成ったのか教えてくれない?」
「……ビール?」
「アンタが、居酒屋で飲んだアレよ」
「あー、ビールって言うんだ、美味しいですよね、アレ!シュワッとしてて!」
なに良い笑顔に成ってんのよ
そう言や、初めて飲んだんだっけ
「あんまり美味しくて、幸せな気持ちに成ったので、祝福したんです」
「祝福?」
「ハイ!月の神子の祝福を与えると、魔力が満ちて元気になりますよ!」
ミカも言ってたけど、どうやら加減って物も知らない様だわ
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