第30話 緊縛少女は月○仮面の夢を見る
ラファ姉のお店で、大ジョッキ五杯とゲソ揚げを平らげ、飲みたかったモヒートカクテルを楽しんだら、米酒のぬる燗とモツ煮込みでシメた
ん~、蒸し暑くても、燗酒はやっぱり美味しいわよね
煮込みも、大根にニンニクと生姜の味が染み込んで美味しい
米酒に合うわ
ちょっとしたアクシデント(ミカのストリップショー)は有ったけど、そろそろ看板の時間だ
あの現場に居合わせた、全員の記憶は、綺麗さっぱり消去したし、荷物を担いで部屋に戻るとしましょうか
皆殺しにしなかった私、偉い!
外に出ると、聖都の遥か東側の空が、黒煙に覆われ、ぼんやりと紅く照らされていた
どうやら、まだ火災は続いているらしい
一体、何百人が犠牲に成るのかしらね……
糞勇者め、見付けたら絶対殺してやるから覚悟なさい!
本当なら、今すぐにでも駆け付けて、暴徒鎮圧と避難者の保護をしたいのだが、師匠に言い付けられてるからなぁ
取り敢えずは、この「荷物」をどうするかだ
西方支部教会の自室へ、簀巻き状態の少女を連れ込む様は、事情を知らない人が見たら、誘拐犯の拉致現場と誤解されかねない
身体強化のおかげで、小さな少女を担いで運ぶのは苦にならない
部屋に入ると、無造作に「荷物」をポイっと床に放り投げる
どさっ、「ウグッ!」
「何事ですか?ミカエラ様!?」
隣の使用人部屋で休んでいた筈のデュオが飛び込んで来た
「あら、起こしちゃった?ゴメンね」
「ううーーっ」
「.......どちら様でしょう?」
「気にしなくて良いわよ、何も心配いらないから、もう休んでなさい」
「でも」
「むーーー!むーーーーっっ!!」猿轡を噛ましてるから、喋れないわね
みの虫みたいにモゾモゾ動いてるわ
ドスッ!と横腹を蹴り飛ばす
「グエッ?」
私は、精一杯の慈愛に満ちた笑顔を作って、優しくデュオに語りかける
「良いから、もう寝なさい?」
「ヒッ!わ、分かりました
お休みなさいませ........」
何故か少し怯えた表情で、大人しく隣室へ戻るデュオ
ヒッって何よ、失礼ね?
少女を、床に座らせると、目隠しを外して顔を覗き込む
「今から猿轡を外すけど、騒いだりしたら殺すわよ?分かった?」
自分で言っててなんだけど、悪党の台詞よね
ウンウンと、首肯する少女の猿轡を外してやると
「このっ、さっさと縄を解きなさいよ糞ビッチ!」
バキッッ!!すかさず頬を張る
我ながら良い音だわ
今度は、さっきよりキツく猿轡を絞る
「ムグーーーーッ!?」
「私の言った意味が、理解出来なかったのかしらね?」
冷たい眼で見詰めながら、前髪を掴んで顔を向けさせる
「次に、私に対して舐めた口きいたら、舌を千切り取って二度と喋れなくしてやるからな?分かった?ああ?分かったか!?」
大事な事だから二度確認
涙目になりながら、コクコクと頷いたので、猿轡を外してやる
今度は少し落ち着いてるな、ヨシ
「..........」
「知ってるかも知れないけど、私は聖女のミカエラ、言っておくけど、私に勝てるなんて思わない方が身の為よ?」
じっと私を睨んでくる
良い度胸じゃない、このガキ
「珍しい眼の色ね
金色の瞳なんて、初めて見たわ」
ふいっと、横を向く
拗ねてるみたいでかわいいが、容赦はしない
ボグッッ!軽くボディブロー
「ゲボッ、ゲロゲローーー」
わっ、汚え!吐きやがった?
「ふざけんな!誰が吐いて良いって言った?糞ガキ!」
頭を踏みつけて、吐いたゲロに顔を突っ込ませる
ビシャ!「ウブッ!」
「良いか、私に舐めた口きいても殺す
舐めた態度とっても殺す、分かったな!」
どう見ても、幼い少女をいたぶる悪党にしか見えないけど、私は聖女
女神様に支え、世の為人の為に日夜頑張る聖職者
世界中の信徒達の期待と感謝を糧に、今宵も悪を討つ正義の味方!
悪いのは、常識を知らないこの子の方だわ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます