第18話 親子丼は旨けりゃ良いじゃん


聖都の空に、小さな人影が浮いている


 「誰だか知らないけど、私ごと丸焦げにしようとしやがったわよね?喧嘩売ってんの?

 ヨシ買った!テメー、コラ!降りて来い!

 人を見下してんじゃ無ぇぞ糞ったれ!!」

「お待ちください、

 残念ですが、ミカエラ様では戦乙女に太刀打ち出来ないかと」

「……マジ?」「はい」

 沸点の低い私をミカが止めてくれた

 確かに、周囲への被害を度外視したとは言え、あの雷撃をどうにか出来る気はしない


 私の守護天使「ミカ」は正直だ

 しかも非常に優秀

 酒にも付き合ってくれるし、愚痴だって黙って聞いてくれる

 気遣いも抜かり無く、何時だって的確なサポートをしてくれる頼れる存在だ

 男日照りに悶々とする人肌恋しい夜には、嫌がらずに抱き枕にも為ってくれる

 決して嘘はつかないし、いざとなれば己の存在を賭してでも、私を護ろうとしてくれるだろう


 だが、売られた喧嘩を買わないのでは、私の気が済まない


「ミカなら、何とかなりそう?」

「申し訳ございません

 ダメージを防ぐだけなら何とか出来ますが、恐らく私の聖魔法では相性が悪いかと」

「チッ、仕方無い

 一旦仕切り直すかぁ?」


「あの~、お怪我ありませんでしたか?」

「ああん?」


 プカプカ浮いてた奴が降りてきた


「いきなりブチかましといて、寝言こいてんじゃ無えぞコラ!?」

「申し訳ありませんでしたっ、

 守護天使がご一緒でしたので、大丈夫かと……」


 深々と頭を下げる10歳くらいの少女


 良く見れば、胸当ての下に聖女の様な聖衣を着用してるが、背中から小さな羽根が生えている


「ゴメンなさいで済んだらアタシ等要らねぇっての!大体、何なんだよテメーは?」


「申し遅れました

 私、この度ペンティアム様より産まれました、戦乙女のサリエラと申します」

「は?」


 いま、何か変なワードが無かった?

「ですから、私はペンティアム様に産んで頂いた戦乙女でございます」

「えええーーーッッ!?」

 ビックリした!

 酔った勢いで、こっそり変装して男娼館に行こうとしたら、デュオに取っ捕まった時くらい驚いた!

「う、う、う、産んだってアンタ……」

「落ち着いてください、ミカエラ様」

「だだだだってミカあああれだよ?

 産まれたって事は、私の師匠がおおおお男とだな、つまりそのアレだ、アレをそーしてそー言う事をだなぁ?えええーーー?」


 そりゃあ、師匠だって女だ

 何百年、何千年生きてりゃ、男とそう言う関係に成る事も有るのかもしれない

 しれないけれどもが!


「何を勘違いされてるのか、なんとなく想像はつきますが、一旦落ち着きましょうミカエラ様」

 流石に冷静なミカ

「勘違いですか???」

 しれっと悪びる様子もないサリエラ


 10歳やそこらじゃ、アレな大人の事情は分からないのかも知れないけれど、ん?

 10歳で産まれたばかりって、辻褄が合わなく無い?どゆ事?


「私は、ペンティアム様に召還された守護天使「サリエル」の「魔力核」を基に再構築され、人型の器に受肉させ融合し、産み出された、実体を持つホムンクルスです」


 えーと、ゴメンね

 丁寧に説明されてもチンプンカンプンだわ?


「要するに、実体を持った戦乙女をペンティアム様がお造りになられた、と」


 成る程、分かりやすい説明ありがとう

 大好きよ、ミカ♡


 そうすると、実体を持った生命体を創造したって事?凄ぇな師匠、まるで女神様みたい……


「……え?それって大丈夫なの?」


 聖王(前教皇)辺りが煩さそうだな

 

 

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