第57話 シャル・ウィ・エンジェル?


「どうして、こう、なったんだろう?」


 良く分からないけど、私の花嫁候補争奪戦が始まろうとしていた


 悪魔冥土アガリアVSクレセント、サリエラ組


 アガリアが、どの程度の実力か知らないけど、正直に言って、あの二人に勝ち目があるとは思えない

 何しろ、クレセントとサリーにタッグが組めるとは、到底思えないわ


 師匠曰く、「端から勝負に成らん」らしい

 私もそう思うけど、二人とも止めても聞かなかった


 でも、ちょっと待ってよ?

 って事は、二人とも私の花嫁に成りたいって事?


 イヤイヤイヤ!無いでしょ?

 女同士よ?


「「そう言うトコロですよ?」」


 何故か、ミカとデュオの二人から突っ込まれてしまったわ


「ご主人様、必ずや勝利を捧げますので、ご期待下さいませ」

 あぁ~、うん、怪我しない様にね?

「はううっ!

 この身を案じて下さるとは、なんと尊い!?」


 ヤバいわ、この悪魔

 て言うか、私タチなの?

 男性経験すら、まだ無いのに?


「ミカエラ!必ず勝つから、応援してね?」

「ミカエラ様、私が勝ったら、すぐ結婚しましょう!」


 サリー?

 ゴメン、何言ってるか理解出来ない

 て言うか、「私が」って時点で、協力し合う気ゼロよね?


「現実を受け入れましょう、ミカエラ様」


 戦闘に参加出来ないデュオが冷静に対応するのが、何故か怖い


 ぶっちゃけ、居たたまれなさ過ぎて、バッくれたいけど、私の意思を無視して、闘いのゴングは鳴ってしまう


「吹き飛べ!!」ドキューーーーンッッ!!

 いきなり、クレセントのドラゴンブレスがアガリア目掛けてブチかまされる


 けど、アガリアは弾き飛ばすどころか、片手で受け止め、消滅させた


「舐めんなーーーーッッ!!」


 クレセントがキレて、突っ込んで行った

 アガリアは、クルリと身を翻すと、クレセントの頭を踏みつけて、地面にメリ込ませる


「聖域展開、神雷!」

 サリーの電撃がアガリアを捉える


 サリーが展開した絶対領域の中では、回避不能の雷撃の聖魔法だ


 ドッカーーーーン!


 閃光の中、雷撃を避けたアガリアはサリーに肉薄し、頭を鷲掴みにする

 咄嗟に、神剣を抜き放ち、魔力を込めた一閃を振るうが、アガリアに無効化され、そのまま頭を地面にメリ込まされた


 いやー、魔力の格が違い過ぎるわ


 こりゃ、アガリアの圧勝かな?と、思ったらクレセントが龍化して、尻尾でアガリアを叩き潰した


 クレセントは、そのまま急上昇して反転、地上のアガリア目掛けて超急降下爆撃を敢行する


 油断して、少しピヨッてたアガリアは、モロにクレセントの攻撃を喰らってしまい、意識不明で戦闘不能


 結果、まさかのクレセントの逆転勝利となった


「や、やったーーーっ!私っ、強い!!

 ざまあ、見たか!この糞悪魔!」


 素直に喜んでるクレセントが可愛い♡


「「はあ……」」


 横で、ミカとデュオが、ため息をついてるけど、何故かしら?


「ミカエラっ、私、勝ったよ!」


 クレセントが凄い笑顔で駆け寄って来た


「う、うん、そうね

 おめでとう、頑張ったわね?」


 にぱーーーーっと、満面の笑顔のクレセントが可愛くて仕方無いのだけど?

 頭をスリスリ擦り付けて来たクレセントを撫でていると、ふと眼が合う


 ボッと、クレセントの顔が真っ赤になった


「え、えと、あの、私が勝ったから、お嫁さんにして……くれる?」


「フフッ良いわよ?こんな私で良ければね?」


「ーーーーーッッ!!」


 クレセントが私の胸に顔を埋める

 耳まで真っ赤だ


 素直に可愛いと思う

 そんなに、私の事を好きでいてくれるなんて


 て言うか私、女の子にモテモテだけど、男に全く縁が無いわよね


 女同士なら、子供も出来ないから、聖女を辞める必用も無いし、女同士の結婚も、有りなのかな?


 なんて考えてると、アガリアが復活した


「ああーーーーーっ!糞があっ!油断したあ!チクショーーーーー!」


 うん、元気そうだ

 アレが本性な訳ね?


「仕方ありません、私は第三婦人で、我慢するとしましょう」


 花嫁を諦める、と言う選択肢は無いらしい


「……第三婦人?ちょっと待ってよ、は?」


 クレセントが不思議がってると、

「勿論、私が正妻ですから!貴方は二番目」

 と、ミカが私の背中に抱き付いて来た


「はあ?この駄天使が正妻ーーー?

 認めない!認めないわよ、そんなの!」


 ダメよ!それは禁句!!


「……今、何て言った?このメスガキ!」


 一瞬で、周囲の地面が凍りつく

 ミカの権能は、聖魔法だけで無くて温度変化を支配出来る

 今みたいに、極度の感情の高まりで、発現されるけど、自由意思でコントロールは出来ない

 師匠の暗黒魔法の影響みたいだけど、詳しい理屈は良く知らない


「上等だ糞ガキ、体液沸騰させてボイルドドラゴンにしてやるから、かかって来いや」


 召還天使の容姿や性格は、召還主の影響を大きく受ける

 つまり、このヤンキーセラフも私の持つ一面を反映してる訳よね


「いやー、一面と言うか……」

「根っからのヤンキー聖女ですよね?ミカエラ様、「ポカッ!」あ痛っ!」


 ふざけた台詞を吐いたサリーの頭を、一発どついておく


「行くぞぉ!オオラアアアーーーー!!」


 クレセントがミカに飛び掛かって行く

 若いって良いわね


 数分後、真っ赤に茹であがって、ノボせたクレセントが眼を回していた


 

 

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