第45話 黒いガン○ム(じゃないから)


 モトローラの目撃情報を探したものの、ラファ姉のお店付近からの足取りが、パッタリと消えてしまった

 たかが見習いシスターごときに殺される様なラファ姉じゃ無いし、お腹から抉り出した血塗れの赤子を連れて、目立たずに消える訳が無い


 もしかすると、糞勇者の変身かも知れない

 だとすると、師匠と同じ様に「転移」とか出来る可能性が高い


「クレセント、アンタ変な気配とか言ってたわね?魔力とは違うとか」


「あー、そう

 魔力とは別物で、何て言うか……妙な感じ?」


「何よそれ?ミカにも分かるかしら?」


 私は守護天使のミカを呼び出す


「ミカ、何か感じる?」


「んーーーー、んんーーーー?」


 ミカが真剣な表情で、気配を探ろうとしてる

 これは、もしかしたら期待出来るかも!


「強力な魔力が行使されたのは間違いありませんが、どんな魔法なのかはサッパリ……」


 ダメかあ……クレセントは追跡出来たのになぁ


「ここで、魔力が消えてますから、追跡は出来ませんけど、同じ魔力を感知すれば、居場所の特定は出来るかもです」


 マジ?流石K-9は伊達じゃ無いわね


「……何か失礼な事、考えてませんか?」


 どうして分かるのかしら


「アンタ、顔に出てるのよ」


 前にも誰かに言われた気がするわ


 とは言え、広大な聖都を飛び回って探す訳にもいかない

 流石の出来る天使のミカも、クレセントみたいに超音速で飛行は無理だ


 ん?ミカもクレセントに乗れば良いんじゃね?

 あっ、我ながら名案かも!


「先に言っとくけど嫌よ?そこの天使を乗せろって言うんでしょ?」


 えー?EWAXみたいでカッコいいと思うんだけどなー?でも何でダメなの?


「私が魔力で飛んでるのは、理解してるわよね?異なる魔力の塊である天使を乗せたら、干渉してマトモに飛べやしないわよ」


 以外と繊細なのね

 因みに私は、アイザックよりボリノークサマーンが好きよ♡サラが健気で儚くて……


「訳の分からない話しは兎も角、そんなに速く飛んでたら、見つかる物も見落としてしまいますよ?」


 それもそうか

 でも、ミカの飛行速度は私の全力疾走と同じくらいの、時速八十キロ程度だしなぁ

 聖都は東西だけでも端から端まで四百キロは有るから、とても日が暮れるまでには終わりそうに無いわ


「アンタも大概、人間離れしてるわよね

 でも、取り敢えずやってみなきゃ始まらないわよ?」


 それもそうだけどさ、私としては面倒臭い事はさっさと終わらせて、糞勇者をブッ殺して美味しいお酒を飲みたいのよ?


「その為にも、地道に追ってみましょう?ミカエラ様!」


 はあ~あ、地道かぁ

 私の辞書には書いて無いわね……ん?


「え?」


「あら?」


 三人が同時に気付いた気配に振り返ると、そこには何か真っ黒いガンダ○……じゃなかった、真っ黒い人影が居た


「はあい、初めまして

 クレセントはお久し振り~」


 ……誰よアンタ?


「セレロン!?何でアンタがここに居るのよ?」


 クレセントの知り合いらしいけど

 セレロン?師匠の廉価版かしら?


「何か失礼な事考えてるでしょ?」


 何故分かるんだろう?


 

 


 

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